15
俺が薬草採取を終えてギルドに戻ると見知らぬ人がいた。
「これ換金してください。」
「はい、お受けします」
「うん?どうしたちっちゃいの?」
どうやら俺に気がついたようだ。
イルーシオの村の周辺はランクがD以上の冒険者にとってはいい稼ぎ場ではないので、ギルドには若い人は滅多におらず、居ても、「小塚い稼ぎでやってたらいつの間にかDになってたわ(笑)」な知った顔の人ばかりなのだ。
だから見知らぬ人は珍しい。
「‥‥赤髪‥‥ガビルと一緒‥‥」
「うん?この赤髪が珍しいのか?これはな俺が火魔法を使える証明なんだぜ。」
「火魔法?」
「そうだぜ、『火よ』」
すると指先にろうそくの火ほどの灯火が生まれた。
「おおー」
俺は素直に驚いた。自分以外が魔法を使ってるところを見て。
しかし疑問も出てきた。
それはこの人が今は『火属性魔法』ではなく『火魔法』と言ったところだ。
『なんでこの人は火属性魔法ではなく火魔法なんだ?明確な違いがあるのか?それともただ認識を間違ってるだけか?』
「おおーいヴェン。討伐終わったぞ。」
俺が考え込んでいるとギルさんがどうやら討伐依頼から帰って来た。
「あ、あなたは‥‥
ギルバートさん!」
俺に魔法を見せてくれた人がギルさんに駆け寄った。
「あ、あの覚えてますか。スピサの街で会ったスティーブです!」
「誰だ?ええっとちょっと待て、スピサ‥‥スピサ‥‥」
「たまにクエストが出されるところですよ。」ヴェン爺
「あぁ、あぁ、あそこか。思い出した。久しぶりだなスティーブ。」
「はい!お久しぶりです!」
『それでいいのかスティーブさん(?)ギルさんあんたのこと忘れてたぞ。』
どうやら見知らぬ人はスティーブと言うらしい。
ガビルと同じ赤髪で、目も赤みがかった茶色の二十代ぐらい。
それからギルさんとスティーブさんとのなるそめを聞いた。
簡潔に言うとスピサの街では数年に一度魔物が大量発生し、街に押し寄せてくるのでギルドがクエストを発行、そのときは魔物の大量発生が十年以上起こっておらず、最悪の事態を予想し大量発生の予兆(雑魚魔物が大量に草原に表れる。見ただけで分かるぐらい。)が起こったら高ランク冒険者がスピサの街に集結した。
ギルさん達のパーティーは解散していたがギルはまだ金稼ぎのため冒険者をしており、そこでスティーブさんに冒険者とはなんたるか、また稽古をつけたらしい。