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二十階層にきて40分ほど。
やっとアギト達に会えそうだ。
どうやらここは壁が移動する間隔が短く、少ししたらすぐに道が変わる。そのため一向にアギト達のところへ行けなかった。ただ、理由はわからないがアギト達が階段前で止まってくれたおかげでなんとか近くまでこれた。
「あ……」
ナーニャが足を止める。
それだけでなんとなく察する。
それは、今から通ろうとした道が塞がってしまい何度も立ち止まったからだ。
ナーニャの顔はもはや青を通り越して真っ白だ。
さっき「別に取って食ったりしないから気にするな」と声をかけてから拍車がかかった。
「ナーニャ。俺に変わるっす。」
「え、え……」
ナーニャの目線が俺とロウガを行ったり来たりする。
「ナーニャ。さっき変わった壁はどこだ?」
「あっ、こ、ここです!!」
俺がそう聞くと、ナーニャは俺が見やすいよう地図を広げて指差した。
場所は俺たちのすぐ近く、そこを壊せば遠回りするより早く着くだろう。ナーニャは完全に俺に怯えているから、せっかく壁を壊して進めるのに、それに頼ろうとしない。怒ってないしむしろ感謝してるくらいなんだが……
「よし―――」
紅狼視点
ドガアアァァァ
「っ!!!」
突然の轟音。全員がすぐさま立ち上がり、いつでも戦えるよう構える。
「なんだ今の音。」
「……どうやら壁を壊したみたいですよ。」
ティルが片手に杖を、もう片手には雑に広げた地図を持ちながらいった。壁と言ったらここではあの鬱陶しい動く壁のことだ。
「あれを壊したのか……手強そうだな。」
あの壁を壊すには、一撃で粉砕するか、壁の修復が間に合わないかつ、ヒビが入るぐらいの攻撃を続けなければならない。
前者は主に土系魔法の『ストーンキャノン』を魔力を貯めて打てばできる。(それでもある程度実力がいる)
後者は、前者の威力を弱めたものを連続で使うか、代わり代わりで攻撃していけば出来ないこともない。
だが、今の轟音は明らかに一つだった。つまり、一撃で壊したのだ。
もし出会って一番にそんなもん打ち込まれたらたまったもんじゃない。それを受けないためにも警戒をする。
そして―――
「まってくれ。こっちに敵意はない。」
初めに現れたのは黒髪の知った顔。たしか、レイと言っていたやつだった。
それに続いて後ろのやつらも出てきた。
「なるほどな〜。ま、そう言われれば疑われそうだな。んで、お前らはどうするんだ?」
俺はアギトにここへ来た経緯をあらかた話おえると、アギトはそう尋ねてきた。
「アギトたちを手伝うよ。ちょっと20階層のボスと戦いたいからってのもあるし。」
「あいつとか〜?やめとけよ。3日はボス部屋から出れなくなるぞ。」
「倒せなかったら倒せなかったらで別にいい。時間はまだあるから。」
「ふ〜ん。まあ、お前らがそうならもう口出ししないぜ。ただ、忠告はしたからな。」
「わかった。」
まだボス部屋は見つかってない。先は長そうだ。