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ロウガたちに、11からの地図が盗まれたこと、そしてその地図の写しを今持っていて、ギルドに届けようとしていること、を伝えた。
「て、そっちに方が優先すよね普通!いや、勘違いした自分も悪いっすけど……」
「まあなんだ、俺たちも隠し通路の行き方知れて収穫はあったし、無駄ではなかったから気にするな」
「気にするしない以前の問題だと思うけど……とにかく、ロウガさんありがとうございました。」
というわけで、戻ろうとしたが
「あの、こっれ言ったらおかしいかもしれないっすけど、レイさん方が地図持っていったらややこしいことになったりしないすっか?」
「おかしいこと?」
「その、なんていうか……売られいた階の地図を持っていくのはともかく、まだ出てないのを渡すのは……て考えたんすよ」
「……そうだな、預かったっていっても向こうは信用しないかもしれないな……かといって今からアギト達に会うってのも大変そうだからな……」
「迷路に行くんですか?なら私たちが役に立ちますよ!」
と双子の猫獣人の妹ナーニャ。
「お三方のためならなんだってやります!」
と姉のシーニャ。
「そおっすね、二人なら簡単に、そのアギトって人に会えるすね。」
「ちょっと待て。会えるって確信をもてるんだ?あそこは結構入り組んでるし、さっき地図を確認したら壁が動いいるようだし、簡単に追いつけるとは思えない。」
「あ、それでも大丈夫っすよ。二人なら。」
と言いロウガは双子を見る。
「『遠視』に『透視』か。便利なスキルだな。」
「あ、ありがとうございます!!!」
特殊スキル『遠視』
視界に入ったものならどんなに小さなものでも拡大したように見える。
特殊スキル『透視』
壁や人など、本人が障害物だと思ったものが透けて見える。
姉のシーニャの『透視』はダンジョンの壁も透けて見え、魔法紙の地図は見た範囲+その周辺が地図として浮かび上がる。そのため、シーニャが魔法紙を持ちながら透視を使うとみるみる地図が埋まっていく。
「……少しやりすぎちゃったかしら。あんな畏まっちゃって。」
「まあ…………それより、そう落ち込むなよセレナ。」
「だって、」
今まで苦労してやっていた地図埋めが、こうもあっさりと終わってく。セレナが落ち込むのも無理もない。だが、もう少しシャキッとして欲しい。
「気持ちはわからなくもないが、俺らがセレナに助けられたことに変わりないから。」
「……ありがと。」
潜り始めて数十分
「あっ……」
シーニャが角も曲がり、そう驚いた。
シーニャの前を歩いていたロウガは気まずそうに頭をかいている。
「また、か、―――」
「ごめんなさい!!!」
いくら地図が簡単に出来るとはいえ、迷路自体が時間と共に変化するとなると容易に先へ進めない。
だから今みたいに、さっきまでは通れたのに通路が塞がって迂回しなくちゃならなくなる。ということが起こる。
「ダメ元で聞くが、この壁。壊せないか?」
「そおっすね……。自分は試したことないっすけど、多分無理す。やってみるっすか?」
「んーまー……一応、やるだけ。」
俺以外はさっきの角に避難してもらい、壁の前へ立つ。
『龍化、部分龍装。』
「ふんっ!」
ドゴォォォ!!!
「おお!ひびが!……ただ―――」
「そう簡単にはいかないか。」
次の瞬間には壁が修復していた。
壁へ近づき軽くノックをしてみる。
『さっきひびが入った時、魔力を感じたがこれぐらいじゃなにも反応しないか。一応『干渉』―――壁の内側に魔力があるな。ご丁寧にこの壁だけ。』
「レイさんが無理なら自分も無理すね。早く迂回していきやしょう。」
「いや待ってくれ。もう一回だけ試したいのがある。」
「は、はあ、わかったす。」
再度、角に避難してもらって。今度は左手を壁に当てながら、
「ふんっ!」
パンチが当たる瞬間に干渉魔法によって壁の魔力を無効化する。
ドゴォォォォォ!!
「「「おおぉぉ!!」」」
「さ、さすがっす!レイさん!!」
「早く行くぞ、すぐ修復する。」
「あ、はい。」
壁の破壊により、進行がより早くなった。