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「お、きたな。」
「待っててくれたんですか。先に行ってもかまわないのに。」
「お前らがスライムな負けるとは思ってないが、一応な。じゃ、先に行くぜ。」
ここに来るまで約一時間、十階層まで同じぐらいかかるとしても、着く頃には15時過ぎぐらいか。
「ばればれよ、あの子達のこと気にかけてるの。」
「そういうシエラだってあの……アルス?のこと気にかけてるじゃないか。」
「聖魔法は特別なの。」
「はいはい。」
六〜十階層は今までよりも森って感じだ。
今まではところどころに日が差しており、足元にも日が差してバッチリ見えるようなところだったが、今は足元に影がさしていることが多い。
生えている木の間隔が狭いためだ。
だからと言って特に問題なくどんどんと奥へ進んでいった。
ボス前に着いたが誰もいなく、門が空いていた。
「……なんだろう。もう精霊に頼るのはやめようかな。」
「まあまあ、初めのうちは頼りましょ。正直、ここは私たちの強さに合ってないから。」
「……それもそうね。」
下に行くほど広くなっているためか、三十分ほど多くかかったが、道がわかる以上、探索などせずサクサクと移動しただけだった。
「じゃあ、とっととボス倒して先に進みましょ!」
現れたボスは、俺たちよりも一回り大きく緑色をした魔物だ。
「あれって、もしかして……」
「たぶん『ホブゴブリン』だな。」
ホブゴブリン
ゴブリンの上位種と言われており、ゴブリンよりは強い。体長は俺たちと同じぐらいか、少し小さい。
だが、ダンジョン内の魔物は強く大きいためか、目の前にいるホブゴブリンは俺たちよりも二回りほど大きい。
斧を持っているみたいだが、まあ、余裕だろ。
「俺がやる。」
そう構えると、
「GAYAAAAAA!!!」
ホブゴブリンは真っ直ぐ俺の方へ突っ込んできた。
俺は剣を振り上げ『スラッシュ』を放ち、ホブゴブリンは後ろへ吹き飛んだ。
とっさに斧でガードしようとしたようだが、たとえ強くともホブゴブリンなんかに遅れは取らない。
「ま、こんなもんだろ。次がどんなところか見たら帰るか。」
「わかったわ。」
部屋を出るとそこには石でてきた通路だった。
左右と前に道が続いている。
「まさか迷路?」
「そう見たいね、結構広いみたい。」
「そんなにか?」
「ええ。しかも、だいぶ入り組んでるわよ。そのせいか次への道が分からないわ。」
「精霊を使っても分からないか……どうしたもんか……」
セレナは精霊と繋がることで広範囲にわたって索敵、探索ができる。
俺たちがここまで早く来られたのはセレナのこの力のおかげだ。
『右手の法則を使えば突破できなくはないだろうが、何時間もかかりそうだな。一番手っ取り早いのは地図を持ってることだが……ワンチャン十一階層以降の地図、売ってないか?あの時は十階層までの地図をくれと言ったから……アキラ達持ってないか?でもあいつらがいつ来るかわからないからな……一度出るか。』
ゲートからダンジョンを出て、ギルド、図書館を回ったが、結局地図は盗まれたらしい。
それに十八階層の地図はまだできていないみたいだ。
他にやることもないので宿へ帰った。