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じいさんの話は、ダンジョンによって違いがあることだった。
ダンジョンにも種類があり、魔物を倒すと魔物の爪や肉をドロップするものもあれば、直接アイテムバックや収納魔法に入るところもある。
ダイナや非廉のダンジョンは後者のタイプだそうだ。
それと考えれば分かることだが、当然ダンジョンの下の方から急に外へは出られない。
最後のボスを倒さない限り。
ダイナやほかの階層の深いダンジョンでは何階層毎にゲート、転移門ともいう。があり一気に出られる。
そんなダンジョン片手で数えられる程しかないが、二十階層ゲート無しダンジョンなんてザラにあるらしいし、ダイナのようなダンジョンじゃ深くなるほど広くなって、一階下がるだけでも苦労することになるため、どのみちダンジョンに入るなら要人に越したことはないそうだ。
それとダンジョン内でのルール。
これはいつもとほぼ同じだった。
早い者勝ち、横取り無し、助けを求められるまでは手助け無用と受け取る。ここに追加で、助けてもらったらアイテムが自分のところに入っても相手に渡すことになってる。
助けられたらきちんとお返ししようということだ。
「しかし、本当に久しぶりに冒険者の方がきましたよ。確か名簿が……あった、あった。三年ぶりの冒険者ですね。」
「三年ぶり!?」
「ええ、若いものはみんな街のダンジョンに行き、一攫千金を狙っていますから。」
メイリーズの職員の話だと質よりも量で儲かるわけだが、ある程度強くないといけない。
だが強くなればダイナで討伐した方が断然いいので、強くなることも含めて街へ行き、このダンジョンに入る人はいないらしい。
「さっき名簿がって言ってたが、ダンジョンに入るのに必要なのか。」
「あの名簿は入る人の少ないダンジョンでしているもので、確認のためにしているものです。大きい所では沢山の冒険者が入りますが、ここのように小さい所はそうはいかず、かと言って手付かずのダンジョンではスタンピードが起こる可能性があるので、それと子供達が勝手に入らないように見張っているんです。」
『おい、まさか俺たち都合が良かったからこのダンジョンに行くよう勧められたのか?』
「今からスタンピードが起こる可能性は?」
「ない―――とは言い切れませんが、五年おきに街から冒険者が必ずくるようになってます。その間スタンピードスタンピードが起きたことはありませんから、可能性としては低いでしょう。」
三年も放置されて大丈夫かと思ったが、五年放置されてスタンピードが起こらないならまあ、安全だろう。
それに今回、もし俺達がダンジョンを攻略できなくても二年後には別の冒険者がしてくれるし気は楽だな。
「―――お、もう日が傾いてしまいましたか。久しぶりに村以外の人と話せて長話になってしまいました。」
「いえいえ、私達もダンジョンについて知れてよかったです。」
「そうだな。なんも知らないまま入って死にたくないしな。」
「そう言ってくれると私も嬉しい限りです。」
「そろそろ夕飯ですし、一緒にどうですか?」
「それはありがとうございます。今夜はちょっとした宴会になりますな。は、は、は。」
今日はじいさんとその奥さんと夕飯を食べ、さすがに部屋を借りるわけにはいかなかったので近くでテントを張り寝た。
夜にダンジョンに入らないか疑問に思ったが、夜に子供を出歩かせる親はいませんよ。と返ってきた。