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「ごめんなさい。朝から大声出しちゃって。」
「いいって、俺もその‥‥‥なんというか‥‥‥」
「「‥‥‥」」
「ちょっと武器見てくるわ。」
「え、ええ。行ってらっしゃい。」
昨日俺はセレナ達、いや女性を始めての抱いた。
前世がある分そういった知識はあっても始めては始めて。
『だと言うのに、まさか俺の体がそっち方面でも強いかったとは‥‥‥嫌われて無いよな、朝謝ったけど帰ってからも謝ろう。』
と、ネガティブなことを考えながら街をぶらぶら歩く。
「ん?」
たまたま見つけたのは俺の剣を研いだ鍛治屋だった。
『いつも使ってたのは双剣だけど、別に双剣にこだわらなくても俺には剣王術があるから、よさげな剣でも買うか。』
鍛治屋に入ると見たことある顔があった。
「お前は確かライダーだな。」
「ええ。決勝戦惜しかったですね。レイさん。」
彼はそういい手を差し出してきたので、俺もまた握手する。
「褒め言葉として受け取っとくよ。―――っ」
「次は負けませんよ。」
「ふっ、次会うときは魔剣を手に入れて圧勝してやるよ。きちんと賞金分も貰う。」
「がめといですね。」
「おこぼれで貰った金なんて使いたくねえだろ。」
「「‥‥‥」」
「おいおいおい、なに人の店で火花散らしてるんだ。喧嘩ならよそでやってくれ。」
「それもそうですね。この続きは次あったときに。では僕はこれで。」
彼は店を出ていった。
「全く、冒険者はすぐ頭に血が昇るからよ。あんちゃんはなんのようだ。まさか喧嘩ふるだけふって何も買わないなんて無いよな。」
「これと同じぐらいの剣をくれ。」
「ふむ‥‥‥こいつはまたすげーいい剣だな。あんちゃんにはちと小さすぎるから、買い換えるのか。」
「いや、それは双剣の片方だ。もう片方は壊された。」
「双剣!これでか!?は~。よし!つい先月今までで一番いいのが出来たんだ。そいつを特別に出してやる!だから少しだけ、少しだけでいいからこの剣を見せてくれ!」
「わかったわかったから。落ち着け。」
新しい剣を買い、小一時間店の武器を見てまわった。
いつもは使う武器しか見ず数十分で決めていたが、改めて他の武器を見るいい機会だった。
ハンマー、アックス、斧、槍、ツメ、短剣etc
『だけど双剣は少ないな。でもそれもそうか、全く同じの剣を二本作るんだし。あのときは焦ったのかもな。干渉魔法の結果は相変わらず鉄の剣やら青銅の剣ばっかだな。』
「やー、やっぱジラグさんの作った剣で間違いねえわ。それもまだまだ若い頃のやつだ。今みたいに印はねえが逆にそれが珍しい。いいもんもってんじゃねえか。あんちゃん。」
「あ、ああ。」
「それと、これが今うちで一番いいやつだ。」
「ありがとう。‥‥‥」
『この人はこんなにはしゃいでいるのに、何で他の鍛治屋じゃいい剣としかならなかったんだ?』
「どうかしたか?」
「いや、何度か研いでもらったがあんたみたいにはしゃいだのは始めてで。」
「いやー、今は鍛治師をしてるが元は剣マニアだったからな。有名な鍛治師の癖なんかは一発でわかっちまうのよ。」
「そうなもんなのか?」
「そうなもんだ。」
「まあいい、じゃな。」
「‥‥‥」
『ジラグって人がこの剣を作ったんだな。それも鍛治師じゃ有名な人か。もし縁があればあってみたいな。俺の剣も打って貰いたい。』
宿に帰り、夜にメイリーズ行きの馬車に乗ろうかと相談したが二人とも腰が抜けた(原因は俺だが)らしいので余裕を持って明後日に出発することにした。