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異世界転生した。  作者: R0R0
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 気がつくと見知らぬ天井、そして視界の端にはセレナの姿があった。


「……おはよう。」

「おはようって、とっくの昔にお昼まで過ぎてるわよ。」

『‥‥‥確かプロマックスと戦ってたっけ。』

「はぁ‥‥準優勝か‥」

「えぇと‥‥その事なんだけど‥‥」

「どうした?」

「あの~その~()()()は取ったんだよショウは!」

「ショウって準優()だろ?」

「それが‥‥‥」


 ガク


 セレナはうなだれ、また話始めた。


「レイってプロマックスさんと戦ってるときのことを覚えてる?」

「覚えてるが、それがどうした。」

「その時脱いだ服ってどこにある?」

「脱いだ服‥‥ああ、あれは確か収納あ!」


 ここまで来てようやく自分のしたミスに気がついた。


 本来、身体強化以外の魔法は使用禁止なのに収納魔法を使っていたのだ。


「っ‥‥‥やらかした。」


 俺は手で顔を覆い、そう呟いた。


「ん?じゃあショウなんて貰えないんじゃないか?」

「レイは『猛闘賞』てのを貰ったんよ。」

「『猛闘賞』?」

「そう。レイが決勝戦に行った時点で優勝はレイに決まってたそうよ。だってSランク冒険者なんて‥‥‥」

「そうだな。今の俺で勝ち目がねえ。俺()でもたぶん負ける。」

「うん‥‥‥だから優勝は決まってたんだけど、レイが魔法を使っちゃったでしょ?それで主催者側が困っちゃって新しく猛闘賞を作ったらしいわ。」

「優勝者をプロマックスにすればすむのに何でなんだ?」

「うーん。表彰の時は『試合中、身体強化以外の魔法を使って失格扱いだけど試合の勝敗に関わるものではないし、何よりすごい試合をしてくれた事を称えたいから新しく賞を設けることにする』的なこと言ってたわ。」

「ふーん。‥‥‥表彰の時ってどれぐらい前なんだ?」

「んー、二時間前ぐらいかしら。」

「俺はそれをすっぽかしたと。」

「そうなるわね‥‥」


 いつまでも寝たままでいるわけには行かないので起き上がろうとする。


「あ、まってまだ起き上がっちゃ!」

「大丈ぶ!じゃねえな‥‥‥」


 六十度ほど起き上がったところで一気にめまいがした。


「ほら言わんこっちゃない。あれは怪我が治っても流した血までは治らないらしいから。」

「そうなのか、知らなかった。はぁ‥‥‥」

『しばらくはこのままか。いや、身体操作と再生を使えば案外早く回復できるかも。』

「セレナ。飯作ってくれ、大量に。すげぇお腹減った。」

「ふふ。わかったわ、ストックがあるから先にそれを食べてて。新しいのを作るから。」


 と言い、セレナは『アイテムボックス』から机と出来立ての料理を出して去っていった。


 俺は何とか起き上がり、行儀悪いがベッドに前屈みになりながら座り、出された料理を頬張った。


『アイテムボックス』のお陰でいつでもすぐに出来立ての料理が食えるのはありがたい。


 寝ている間に魔力が回復しているので身体操作、身体強化で胃を活発に、小腸大腸での栄養吸収をスムーズに、骨の血液生産を早くした。


『そういえば水が無いな。ええっと、収納魔法の方に‥‥‥無い?!しまったな‥‥‥』


 血液の大半は水で出来ているので一番重要と言えるだろう。


 血液の成分は何とかなるのにだ。


『次、セレナが来たら頼むか。』


 コンコン


「どうぞ。」

「やあ兄弟。見舞いに来たぞ。」

「プロマックスか。あと俺はお前の兄弟じゃない。」

「何を水くさいことを言う、兄弟よ。お前の、その服の上からも分かる筋肉。鍛え抜かれた筋肉を持つもの同士は皆兄弟だ!」

「服の上からって、そんなわけ‥‥‥」


 俺はいつの間にか着せられていた半袖の服の襟を引っ張り体を見る。


 そこにはプロマックスと戦う前よりも筋肉質になった体があった。


「な、なんだこりゃ!よく見たら腕も筋肉が!さっきまでいつもどうりだったのに。」


 さっきまでとはセレナと会話していたときのことだ。


「こんな短時間に筋肉が増えることなんてあり得るのか?」

「フハハハハ、何を驚いている兄弟。傷ついた筋肉がより強靭になるのはこの世の理だぞ。」

「それでもこんな短時間では‥‥‥いや、あり得るの、か?」

「あり得る!筋肉は決して嘘をつかず!いかなるときも自身に答えてくれる!お前のが勝ちたいと思う気持ちに筋肉が答えたのだ!」

「それは暴論すぎるだろ‥‥‥」

「暴論と思うのは勝手だが、筋肉が嘘をついていないことは確かだ!と、ほら、差し入れだ。」

「おっと。」


 プロマックスが収納魔法から丸い緑色をした物を取り出し、投げてきたのでキャッチした。


『見た目の割に軽いな。リンゴぐらいの重さか?』

「これは?」

「テインメロンだ。たしか‥一度に十個なるからこの名前だった?ま、とにかくこれは傷ついた筋肉を回復させるのに持ってこいなものだ!」

「また筋肉関係か‥‥‥どうやって食べるんだ?」

「そりゃあもう――」


 プロマックスは上を向き、さらにその上で手を握る仕草をした


「――こうだ。」

「握りつぶせと?」

「そうだ。じゃあな、兄弟も元気で。」

「あのな。」

「ん?」

「‥‥‥はぁ、もう言いは。とっとと行ってくれ()()さん。」

「‥‥‥」

「ん?」


 ガシ


「おお!兄弟と認めてくれるか!嬉しい、嬉しいぞ!」

「いでででで、怪我人!怪我人だからな俺は!」


 万力のように抱きつかれ、骨がミシミシと音した。





「レイ?あ、もう全部食べちゃったの!?」

「すごいぞ食欲ね。」

「セレナにシエラか。今度は一緒に食べるか?」

「うーん。私達先に食べちゃったから‥‥‥」

「そうか。あ、水あるか?」

「ちょっと待って―――はい。」

「ありがと。」

「‥‥‥ちょっと思ったんだけど、ここで食事していいのかしら?」

「さあ?ま、ここには俺達以外いないから迷惑かからないしいいんじゃないか。」

「んー。そうかしら。本当、レイは色々考えているようで、だだくさね。」

「ちゃんと考えているわ。あ、これ切ってくれ。」


 収納魔法から片手にテインメロンを取り出しセレナ達に見せる。


「何?これ。」

「さっきプロマックスから貰ったテインメロンってのだ。」

「メロンね。分かったわ―――わ!」


 セレナに手渡すとテインメロンが地面スレスレまで落ちた。


「お、おっも!‥‥‥よっと。こんなに重いなら言ってよ。」

「?重い。」

「重いでしょ?」

「は?」

「は?」



猛闘賞……

もっといい名前が無かったものか……


技名に突っかかる部分が今後あると思うので見逃してください。


もし、こう言う名前の方がいいんじゃないか。と考えて下さったら、ぜひ感想に書いてください。

思うところがある部分は後書きに書きますので。

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