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俺にパンチを喰らわせようと腕を振り上げているプロマックスが目の前にいた
ただ何も考えず両腕をクロスさせ防御を取った
ドッ!
ミシミシミシミシ!
ズザアァァァ
『腕が‥‥嫌な音がした‥‥』
俺はなんとか踏ん張り壁までぶっ飛ばされることはなかったが、両腕の骨がきしむ音が聞こえた
「やはり、お前はいい筋肉を持っているようだ」
「へっ、言ってろ。」
『再生で治るがこのままじゃサンドバッグだ。何か無いのかあいつとやり合う方法は‥‥‥』
「っ!」
治っている最中の腕の拳を強く握り締めたため骨が痛んだ
『骨‥‥‥骨に魔力を蓄えるなんて非常識なことをしたっけだが今その事を思い出したところで、この筋肉には勝てない‥‥‥!』
俺の頭に一つ案が思い浮かぶ
それは
骨、血管、筋繊維それぞれをイメージして、全体的なイメージでなく、筋線一本一本を強化していくことだった
『ボーラント見てぇに骨に魔力を貯めることは出来ないが、魔力を流すことはできる。魔力流れるなら強化だって出来る。筋繊維一本一本を強化していき無駄を無くし効率よく―――!』
俺が考えこみ攻撃してこなかったのでプロマックスの方からパンチが飛んで来た
ドッ!
ズザアァァァ
足の強化は間に合わなかったが、腕はきしむことはなかった
『よし、これなら耐えられる。早速足に―――』
追ってプロマックスがパンチをしてきた
ドッ!
『いけた―――!』
ドドドドドッ!
なんとプロマックスはラッシュを仕掛けてきた
「ぐおぉぉぉお!」
「ハッハッハッハッハッ。俺が見込んだ通り、いやそれ以上にすごいぞ!兄弟!」
「んんぬぉぉお、くそが!」
始めは一方的だったが俺も負けじと拳に拳をぶつけて抵抗する
だが手数も威力も圧倒的にプロマックスの方が高く、頬に、肩に、脇腹に攻撃を貰う
そして、プロマックスが威力を上げてきて俺は耐えられず後ろにふっ飛ばされる
『脇腹に貰ったのは痛かったが、さっきの攻防で全身の筋繊維の適切な強化がわかった。過剰に強化して内側の筋肉がプッツンなんて洒落にならないからな。筋肉の性質って三種類くらいあったっけ。とにかく『身体強化』―――!』
強化した瞬間、さっきまでの攻防で火照っていた体がさらに熱を持ち始め、魔力ともなんとも言えない力が込み上げてきた
『な、なんだこれ!力が‥‥‥あぶれる!』
「グッ‥‥‥あぁぁ‥‥‥」
「ど、どうした兄弟!『再生』を持ってるから傷なんてすぐ治るはずだ!」
こうしている間も熱が上がり、
「!」
ヤバいと思い上半身の服をしまったところで力が溢れた
バキッ!
眼が龍眼になったときよりも大きな音を立てて体が変化した
「はぁ、はぁ、なんだこれ。」
『『干渉魔法』。』
ステータスを確認すると新たに『龍化』という特殊スキルがあった
『たぶんこれだな。詳しいのは後でだ、これならいける!』
「フハハハハ。薄々感じていたがやはり龍族だったか。その様子から見て今出来るようになったんだろう。こい!腕試ししたいだろ?俺が相手になってやる!」
「とれは大助かりだ。なら!」
ドォン!
俺とプロマックスの拳がぶつかり合う
そして
ドドドドドドド!
ラッシュ比べだ
「フハハハハ。どうした?まだ半分も本気を出してないぞ!」
「いってろ!」
「ふん!」
「ぬおぉ!」
『手数も威力も上げてきやがった!押される!‥‥‥なら、限界を超える強化で、怪我したそばから再生して行く!』
「うおぉぉぉ!」
ピッ ピッ ピッ
ドドドドドドド!
筋繊維が切れたためか、一瞬強ばる瞬間ができる
だがこれで今のプロマックスとやりあえている
「いいぞ兄弟!やっと半分だ!」
「さっきから兄弟兄弟、俺はあんたの兄弟じゃねえ!」
「筋肉に認められたもの皆兄弟だ!フハハハハ!認めないのなら認めさせてやろう!筋肉のすごさを!」
「!」
前に出していた左足を左側から足払いをされ、左脇腹から空へ優しく送り出すようなパンチを受け、はるか上空へ飛ばされた
『くそ、ここまで飛んだことねえぞ。』
「さあこい!本気の筋肉を見せてやる!」
『飛ばしたのはお前だろ!いや今つっこみをいれてる場合じゃねえ!このまま行ったら死、魔力を放出して浮くか?いや、どのみちすぐに落ちるな。どれも同じなら‥‥‥いっそのこと突っ込む!』
俺は後ろに魔力を放出して加速した
「ふ、向かってくるか。それもいいだろう。行くぞ!『メ~テ~オ~』」
「はあぁぁぁ!」
「『パーーンチ!!!』」
ドゴン!
拳と拳がぶつかる
一瞬だけ俺が押したが、
「ふん!」
ズバッァァ!
押し負けた
威力を逃がそうと右腕を反らしたが、強すぎて横回転してしまった
『くっ……だが、俺はただでは負けねぇ!』
地面と空が交互に変わる視界の中、まだ右腕をあげているプロマックスの右脇腹にめがけパンチを食らわせる
今度は推進力のためではなく、魔力を一ヶ所に集め、それを一気に放出し爆弾のようにする
ドゴォォォン!
「くっ―――かは!」
バギン!
空中にいたため踏ん張れず地面に一回バウンドして壁に激突した
『身体中が‥痛てぇ‥‥‥さっきので両腕がいっちまったが、流石にダメージは‥‥‥』
目線をプロマックスに向ける
プロマックス攻撃を受けた場所に集まるように体を曲げ
「んんんん‥‥‥ふん!」
無傷の体を観戦者に見せつけた
「はっ‥‥‥あれで無傷かよ‥‥‥」
俺は残りの魔力を右腕の再生だけに使い立ち上がった
その時ふと目にはいるものが
『あれは壁に突き刺さった剣か、さっきの衝撃で取れたのか?‥‥‥ちょうどいい、ならこれで不意打ちが狙える。ここまで来たらとことんあがいてやるぜ!‥‥‥と言いたいところだが魔力がもうねぇ、次で最後だ。』
「うおぉぉぉ!」
俺はプロマックスに向かって走り出した
「まだ向かってくるか、兄弟。ならば全力で答えるのみ!ふん!」
プロマックスの右拳と俺の右拳がぶつかる
だがこれはおとりだ
本命は
『左に持ってる剣だ!』
身体操作は細かい調整は出来ない
だが折れた腕の補助は出来る
俺はこれを使いまだ完全に治りきっていない左腕で脇腹から心臓へ向け突き刺した
パキン!
『剣が―――』
作者用語
あぶれる=あふれる+あばれる