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俺が長引かせたせいで決勝戦を今日中に出来なくなったため、三位決定戦と決勝戦が明日に持ち越しになった。
なので俺は折れた剣の代用品を探して街の鍛治屋を回っているのだが、
「どうだ、直せそうか?」
「直せる‥‥‥と言いたいとこだが無理だ。昨日の予選で剣の修理が大量にあるんだそれもほとんどが急ぎのな。お前決勝戦へ行った奴だろ?俺が直した剣で優勝して欲しい、てのはあるが仕事と事情は別なんだ。悪いな。」
「そうか‥‥ならこれと同じような奴は。」
「そうだな‥‥‥あるにはあるが‥‥こいつと比べられたらどれも劣るもんばっかだな。相当いいもんだぞこの剣。」
「一応見てもいいか?」
「ああいいぜ。」
「ほらよ。」
店主から渡されたのは俺の使っていた双剣と同じサイズのものが三対。
それぞれ振って確かめる。
『ここもか。』
「どうだ?」
「使えないことはない。」
「ま、そんなとこだろ。いいもんは早く買われる。残ったもんはどれも重心が一緒じゃないしな。双剣は二つで一つ。全く同じもんを作ることだから難しいんだ。流石に刃を研ぐぐらいは出来るが‥‥‥作るとなるとこんなもんだぞ。」
「そうか‥‥‥」
『ここで五件め。もうめんどくさいしこれでいいか。』
俺は三対の双剣の中で一番近いものを買った。
金貨5枚分の出費だ、まあ仕方ないだろう。
その後昨日と同じくテントで眠り、ついに決勝戦当日。
決勝戦前の三位決定戦は案の定Sランク冒険者が勝った。
そして
「さあ今年の闘技大会もいよいよ大詰め、決・勝・戦・だぁぁぁあ!決勝戦は今年も参加してただいたSランク冒険者、『怪力のプロマックス』選手!それに対するは初出場にも関わらず決勝戦まで上り詰めたダークホース。レイ選手だ!二人が一体どんな戦いを見せるのか、私は気になって気になって昨日も、ふわぁ~‥‥‥とと、寝てしまう前に始めましょう!闘技大会決勝戦、はあぁぁじめぇぇぇぇ!」
「ふっ!」
開始と同時に俺はプロマックスに斬りかかった
プロマックスの戦闘スタイルは拳、武器を持ってる俺のほうがリーチが長く強そうだが、プロマックスは体格がよくリーチ差は些細なもの
そしてこれまでの戦いを見て『再生』を持っている
これまでなら勝機はありそうだが一番厄介なのは、武器で肌が傷つかないことだ
Sランク冒険者とやったときは怪我をしていた
だから今の俺で傷つくのか試したのだ
結果は
『くそ、薄皮一枚だけか。なら何度でも同じところを斬り続ける!』
距離を詰めたまま剣を振っていく
だが
『勝った方じゃ傷つかない!?それに再生が速すぎる。』
「ふふふふふ。君は見ていたはずだ。生半可な攻撃ではこの鍛え上げられた筋肉には効かないと。ふん!」
「あ―――」
ズズズズズ
『よ、避けられなかった‥‥‥』
「グフ‥‥‥」
パンチが来るとわかった瞬間体を反らしたことで直撃では無かったもののこれだけで結構なダメージだ
「よく今のを避けたな。Aランクでもそうそういないのに。」
「思いっきりダメージ貰ってるんだが。!」
プロマックスが一歩こちらに来たので警戒して買った方の剣を投げる
当然とばかりに人差し指と中指で取られる
「返すぞ。」
俺はせめて外れるようと右側に距離を取りながら動いた、が
チッ
「グッあ!」
ズダン!
プロマックスが投げた剣は何故か右肩を切り裂き壁へめり込んだ
『もうあの剣は使えねえな。壁にめり込んでる。残るはこれ一本。これが壊れたら負け。』
「ふむ。君はなか良い剣を持っているな。俺としてはそれを折りたくはない。」
「じゃあどうしろと。武器が無きゃ勝ち目が無くなる。」
「ハハハハ、何を言う。あるではないか―――
んんんっ筋―――んんんっ肉―――んんんっが!」
そう一言一言マッスルポーズを取って来た
『‥‥‥なんか戦うきが削がれたな。でも確かに折られたくはないな。もらった大切なものだし。』
「わかった。その代わり手加減してくれないか?正直弱いから。」
「ふむ。いいだろう、筋肉のようにみっちりしごいてお前を強くしてあげよう。」
「‥‥‥お手柔らかに。」
俺は剣をしまい、決闘場の端においた
「さあ!どこからでもこい!」
「じゃ遠慮無く。」
ドッ!
殴った、が
『はっ。コンクリかよ、びくともしねえ。』
軽く絶望しながらも攻撃を仕掛けていく
「ふん。いい動きだ、筋肉が動いているのが感じられるだろ。」
「何言ってん、だ!」
大声を出すと脳のリミッターが一瞬誤差動し、セーブが外れ百パーセントを出せるやり方をしたが、効果はない
『これでもダメか。なら!』
かかとおとしをを食らわせようとジャンプする
「だがまだまだ未発達。何より無駄がある。そんなんじゃ俺の筋肉に―――」
「うぉりゃ!」
ダン!
「勝てねえぞ!」
「ぬあ!」
かかとおとしが防がれ、空中だったためふんばれず飛ばされたがなんとか着地した
『やっぱ勝ち目なんて―――!』
プロマックスのいるほうへ目を向けると、そこには
俺にパンチを喰らわせようと腕を振り上げているプロマックスが目の前にいた
登場キャラ
プロマックス
Sランク冒険者で筋肉