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盗賊の後処理も一応しといたし、急いで街へ行き、村人をおろして、ケルラーレの街へ急いだ。
(ちなみに報酬は先払いで一人金貨一枚分もらっている。)
ケルラーレの街に着いたのは大会前日の夕方だった。
俺は急いで御者から聞いた大会の場所へ向かった。
初めて聞いたときは「街へ着けば一発で分かる」と言われ半信半疑だったが、着いてみればその圧倒的な存在感がここだ!と言っている。
ギルドの決闘場よりも数倍、いや下手したら十数倍出かいコロシアムだった。
「すいません。闘技大会に出場したいんだが、できるか?」
「あ、はい。できますよ。」
「お願いします。」
「はい。ではまずお名前―――」
名前とかは置いといて大会の説明に移ろう。
大会は予選と本選に別けられ、明日予選を行う。
予選では集団で一斉に戦い始める。
そして明後日、予選を勝ち抜いたものたちがトーナメント形式で戦っていく、予定。
そのトーナメントで順位を勝ち取れば順位に応じた報酬が貰える。
それとこの大会では『身体強化』以外の魔法を一切禁止しており、もし使ったら即失格。
魔武器による魔法(炎を出したり風を起こしたり)は使っていい。
魔武器の効果は使っていいことの理由がわからないが、なぜか大丈夫らしい。
そのせいでうんぬんかんぬん‥‥‥
「あ、ごめんなさい私語を。」
「いや、大丈夫だ。」
「んん、あと説明してないのは武器のことですね。武器は何でもありです。ただ壊れることは覚悟して下さい。壊れても主催者側は責任を取りません、命あってのものですから。」
「わかった。」
「あ、レイ。どうだった?」
「ん?セレナか。」
ちょうど会話が終わったころセレナ達が来た。
セレナ達には先に宿を取っておくように頼んでおいたのだ。
「一応エントリーできたぞ。」
「そう、間に合って良かったわね。」
「あの~ちょっといいですか?」
「はい。えっと、何でしょう。」
「あなた達、もしかして冒険者かしら?」
「一応そうですが‥‥‥」
「じゃあ闘技大会に興味ないかしら!」
「え、えぇ‥‥‥」
話を聞くと、闘技大会では数年前から女性だけの大会を行っているそうだ。
男性と女性では体格的に男性の方が有利になってしまうためからだ。
身体強化は文字どうり自身の身体を強化するのだが、元の鍛え具合で強化できる上限が変わる。
ひょろひょろよりマッチョの方が恩恵を受けるということだ。
女性側はエントリーするときにどちらの方に出場するか決められるのだが、女性同士で勝ったって所詮女性、と言う、風潮なようなものがあり、来た人のほとんどが男性と戦うと言う。
これでは女性だけの大会を開いた意味がないため、女性冒険者に片っ端から勧誘しているのだ。
「お願いします!ちゃんと報酬もあるので!」
「勧誘してくれたのは嬉しいんですが、」
「じゃあ!」
「私の武器が弓なんで対人に向かないから遠慮しておきます。」
「そ、そんな~‥‥‥仕方ないです。エントリーするかしないかは冒険者本人なので‥‥‥でも、もし気が変わったたら来て下さい!エントリーは明日の朝までなので!」
「あ、あははは。考えときます。」
「さ、早く宿に行くぞ。」
「あ、うん。」
セレナ達に頼んだ宿へ向かった。
途中「手繋ぐか?」と聞いたら恥ずかしながらも繋いでくれた。
「明日大会だからどこもかしこも空いている部屋がなくて、高いが、やっと取れたのがこの一部屋だけと。」
「そうなの。手分けして八ヶ所ぐらい回ったんだけどね。」
「‥‥‥しょうがない‥‥か‥‥‥。」
部屋にはベッドが一つ。
余裕で三人が眠れる広さがあるキングサイズだ。
「まあいい、俺はテント張って寝るわ。」
「ちょっと待って!」
「どうしたセレナ。」
「え、えっと、その~れ、レイは明日?大会に出るんでしょ?
」
「ああ。」
「そ、それならベッドでちゃんと寝た方がい、いいんじゃない?」
「その~なんだ、‥‥‥‥‥‥お休み。」
俺は急いでテントに入った。
『やばい、理性がやばい。『身体操作』でセレナ達の前で膨らむなんてことは無いが、それでも理性はどんどん削られてく。この世界は前世の世界とは違うが……やっちゃてもいいのか?前世から童貞だけど。いやいやいや、付き合ってはいるけどまだ結婚してないし‥‥‥でも結婚うんぬんは前世の記憶があるからで‥‥‥前世の話をしなくちゃ‥‥‥ああもう!』
身体操作を使って強制的に眠った。
身体操作は便利設定です。
自分の身体を自由に操り、寝たい時に眠れたりします。