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馬車が先行したセレナ達に追い付いたときには、ちょうど戦闘が終わったとこだった。
セレナはうずくまり、シエラはセレナの背中をさすっていた。
「悪いが後処理は無しにしてくれ。追っ手に速いやつがいるらしい。」
全員馬車に乗るなり捕まるなりしたが
「今追っ手に抜かれた。どうやら迂回するらしい。」
「くそ!‥‥‥いや、今から飛ばせば何とかなるか?やるしかねえか。」
御者は一気に馬を飛ばした。
さっきまで馬車にいる老人達に配慮していたが今度は馬車が激しく揺れる。
だがそれでも盗賊の方が速かった。
「このまま行ったら先のに行った盗賊とかち合うぞ。別の道に行った方がいいんじゃないか?」
「周りの状況見て言ってるのか、お前は。」
「盗賊より村のやつらの方がこの森に詳しいから抜け道があるんじゃないかと思って。」
「そういう話は昨日聞いたが無いって返ってきた。それよりこのまま行ったら盗賊と会うんだな?いちいち止まってる暇はねえから頼んだ。‥‥‥な!」
瞬間前方に周りの木と同じぐらいの土壁が突如作られた。
「止まれ!どうどう、どうどう。‥‥‥よしよし、いい子だ。」
「はぁ、やっと追い付いたぜ。待たせちまったな。」
土壁が作られた始めた方の木々の隙間から肩に大剣を担いだ大柄な男が出てきた。
「てっきり村の方に行くと思ってたんだが、読みが外れたな。まあいいさ、上玉の女が捕まればな。」
「村のみんなは誰にも渡さないぞ!」
「村の女はブスばっかで欲しくともなんともねえよ。俺は村に来たエルフと獣人が欲しいんだよ。」
『頭には来るが裏でいろいろやられるよりはましだな。』
と、その時俺達の周りに魔法が放たれたのでちっぽけな世界をすぐさま発動しかき消した。
「‥‥‥おい魔法はどうした!遅せーぞ!」
大柄な男がそういうと俺の方に魔法が飛んで来た。
見た目が黒い球なので光属性魔法を付与した斬擊で対処した。
超感覚で場所は分かっていたので難なく防げ、ついでに剣先に光属性魔法を集めレイピアのように付き出した。
今ので正確な位置がわかったので脳を狙ったが、シールドに邪魔され右耳を消すことしか出来なかった。
「ぐわ!耳が、耳が!」
「何痛がってんだ!くそ、『大斬波』!」
大柄な男が剣をふる瞬間、剣から岩が出て来て『大斬波』と合わさり、斬擊と岩が飛んできたになった。
威力はカイザーのと同じようだが、飛んでくる岩は危ない感じ防ごうとしたが、三人組の方で防がれた。
「よっしゃ、あいつは俺達に任せろ!お前らは魔法使いと後ろの警戒を頼む。」
三人組のリーダーがそう言ったので、俺は魔法使いを請けおった。
俺は光の球を作り出し、そこから拡散させた光線を魔法使いに向けて打っていく。
魔法使いもただでは死なず、『ダークウォール!』といい黒い壁を張って俺の魔法を防いだ。
『『ダークウォール』はルーデンスさんのとこで闇系魔法って習ったな。光と闇は互いに弱点だから貫通してもいいと思うんだが、なかなかやるな。今は倒すのを優先させるが。』
俺は拡散している光線を収縮させ、魔法使いの『ダークウォール』を貫通してさせた。
「そん‥‥‥な‥‥‥」
魔法使いは心臓があったところに拳よりも一回り小さい穴がぽっかりとあけて死んだ。
俺の方は終わったがまだ三人組の方が終わっていない。
余波は全部シエラが防いでいるので馬車に影響と言えるものは無いが、以外に追っ手が速くもうそろそろで追い付きそうだ。
それと後ろから遅れて集団が合流した。
「いたぞ!あいつらだ!」
『足止めを食らったせいでもう追い付いたか。仕方ない。『浅霧』』
盗賊達が武器を構える間に俺は霧魔法を使い盗賊を把握した。
そして
「『濃霧』」
霧が馬車と三人組の周り以外を包み込む。
俺は霧に紛れて剣を振る
ただただ無心で剣を振る
やがて晴れた霧の後には、盗賊達の大半が死んでいた
『残った奴は『シールド』を全体に張ってたのか。これは対策を考えなきゃな。』
俺は手のひらに光の球を生み出した。
『さっきは当てるために拡散、かつ手加減してたが、今度は一つ一つの魔力はそのままで威力だけ上げよう。これも練習だ、対象を正確に撃ち抜くための。線を細く、そして速く。即死させるために頭を狙うが、ちゃんと左右どっちかにそれて当たるように。ど真ん中じゃ右脳と左脳の間を通って助かるかもしれないからな。』
カッ!
手のひらの光の球が一瞬光り、盗賊達の頭を一斉に撃ち抜いた。
『だいたいイメージどうりに出来たな。次はこれが曲がったり追尾するのをやってみたいな。‥‥‥さて、三人組組の方は?』
俺が目線をやるとまだ戦っていた。
『もうこっちは終わったんだがな。少し手伝ってやるか『ドーントレスト』』
俺は闇属性魔法のデバフ付与の魔法を弾丸サイズで人差し指から大柄な男に向かって放った。
これは対象の行動を阻害、もとい動かしづらくするもので、まあ手がかじかんで思いどうりに動かない、みたいにさせるものだ。
本来なら手のひらよりやや大きい程度だが干渉魔法を使えば性能が上がるり、この程度でも十分効果はある。
試しに普通の大きさで野ウサギに使ったら動かなくなり、そのまま死んだ。
(元の名前『レスト』熟練になると効果も上がる。それ以外で効果を上げる場合、魔力を込め大きくすると必要がある。その分スピードが遅くなって避けられたり防がれたりしやすくなる。)
俺の魔法が当たると今まで三対一で拮抗していた状態が一気に傾き、三人組の勝利に終わった。
拮抗していたのは大柄な男の魔法だろう。
おそらく土の上位、大地魔法を使って大胆に暴れていた。
余波は馬車全体を守っていたセレナ達が防いだ。
「おっしゃ、魔剣ゲットだぜ!はっ!」
大柄な男の大剣を持った一人が振ると、俺達を妨げた土壁が作られた。
‥‥‥魔武器だったのね‥‥‥感心して損した。
死体を『黒炎』で燃やしながら思った。
やりたい展開をスムーズに行うのは難しいですね。
これからも、ん? と思う展開があると思うので温かい目で見守ってください。