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普通に‥‥‥男のいびきと女性達の話し声で起きてる間はうるさかったがそんな事は置いといて、盗賊だとかは無く三日が過ぎ、朝食には遅い時間帯にロヤリマズの街についた。
『どうするか。飯するとしても時間が曖昧だからな。それよりも周りから視線を感じるんだが‥‥‥殺意とかじゃないから無視でいいか。』
「ねえ。私達四人で観光するけどレイはどうする?」
「俺は遠慮しとくよ。女四人で観光してきてくれ。」
「そう、分かったわ。」
「宿はどうしたらいいかしら?」
「あ――、じゃっ適当に頼むは、シエラ。」
「分かったけど‥‥‥どうやってレイに知らせるの?」
「それもそうか‥‥‥邪魔にならない程度についてくよ。」
『花はそのついでに買えばいいか。』
馬車は人を運ぶためだが一人一人をその都度運ぶと馬の世話だいやら盗賊に合う確率やらが増えるため、街等の大きなところによると一日~二日その街に留まる。
その間に次の街(村)に行きたい人を集め、乗っていた人は宿を取ったり、馬車が寝床を用意している時もある。
『それにしても長いな、女が物を選ぶのは。おすすめされたレストランに行ったときも何を選ぼうか迷ってたし。男性よりも女性の方が錐体細胞(目の奥にある主に色を区別する細胞)が多く、色の区別が多い(微妙な色の違いを感じられる)のは分かるがまつあいだが暇すぎる。‥‥‥早く宿を決めてくれ‥‥‥』
街の人に聞き込み(+おしゃべり)を聞いた話から今日泊まる宿が決まったのは三十分後だった。
そして宿につくまでに、ロヤリマズの街を統治している青い服を着たアーベ・ロヤリマズ子爵が住人に慕われてる様子や、公園で屋台を出していたので寄ったりと、結局一時間以上たった。
『さてやっと解放されたが‥‥‥もう四時か。解放されたと言っても花買うぐらいしか用事無いか。』
街をぶらぶらして適当に花屋を見つけて寄った。
「いらっしゃい。」
「彼女に送る用の花束を作ってくれないか。」
「彼女用ね。いくらぐらいに押さえたいんだ?」
「そうだな‥‥‥」
『正直花になんて興味が無いがセレナ達に送るやつだ、高い方がいいだろう。』
「普通はいくらぐらいなんだ?」
「そうだな、彼女に送るんだし、華やかなもんが多いから銀貨二~五枚ぐらいだ。」
「ふん‥‥‥じゃあ銀貨五枚で頼む。ああ、二束な。」
「二束?両方とも同じのでいいか?」
「いや、一つは金髪のエルフで、もう一つは白髪の獣人に送りたいから別にしてくれ。」
「金髪のエルフに白髪の獣人ね。ちょっと待っててくれ。」
そう言って店内を動き回り花を取っていく男店員(店主かも?)。
慣れた手つきで花をカットしていき、ものの十分で出来上がった。
物が作りあげられる行程はなんともないのにどこか面白く感じてしまうから長く見ていられる。
「はいよ。こっちがエルフの方で‥‥‥こっちが獣人の方だ。」
セレナ用の花束は中央に黄色や橙色等の暖色系でまとめられており、ふちに行くほど緑が混ざっていっている物。
シエラ用の花束は薄桃色や薄紫色の全体的に白をモチーフに他の色が添えられている感じの物だった。
「ありがとう。」
『うん、綺麗だ。と思うがずっとは見てられないな、飽きる。‥‥‥そういえば前世じゃ花言葉てのがあったな。この世界にもあるのか?』
「なあ、ちょっといいか。」
「なんだ?」
「この花、花言葉ってのはあるか?」
「ああ、あるぜ。良く『花言葉』なんて言葉知ってんな。お前さん冒険者だろ。」
「ギルド職員からここをおすすめされたときに聞いただけだ。」
「そうかい、特別に教えてやるよ。エルフ用に作った花束の真ん中にあるのは『真実の愛』て花言葉のやつ。周りのやつは『失恋』『非恋』――――」
「まてまてまて、恋人に送るのにその花言葉はひどいぞ。」
「当たり前だ。自分で決めず他人任せで作らせたからな。ここは花の街って言われてるから、考えなしの男が高い金出して適当に作らせてるから、そういった客にはこうしてるのさ。」
『あ、危な。何してくれてんだ。‥‥‥確かにいい趣味返しだが下手したら首が飛ぶぞ。』
「今から変えてくれるか?」
「しょうがねえな。特別にやってやるよ。」
少しして、全体の色合いは変えてないが確かに花の形が変わった花束を貰った。
「銀貨八枚分な。」
「大銀貨一枚分じゃないのか?」
「お前さんがちゃんと相手のことを想ってるからちょっとまけてやってんだ。ちゃんと相手を大切にしろよ。」
「ありがとう。」
取った宿にて、セレナ達へ買った花束を渡した。
二人とも喜んでくれたようで何よりだ。