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未だ俺とマグナ穣は剣の打ち合いをしている。
『クソ、マグナ穣の魔力を消すのに俺の魔力がめっちゃ持ってかれる!このままじゃ魔力の枯渇で俺の負けだ。‥‥‥今のボーラントならマグナ穣のタックルを受けても大丈夫か?もし骨折したらマグナ穣に面倒を見るよう言うか。だが万が一それで死なれちゃ困るな。』
それから程なくして、マグナ穣の魔力が溢れでなくなってきた。
『流石に『激情強化』は長続きしないか。強化されるために常に気を立てるなんて出来ないからな。それに、いくら身体強化しても疲れるものは疲れるしな。ん?』
マグナ穣が剣を打ち込んでこないことに疑問ができ様子を伺うと、
「‥‥‥グス‥‥」
マグナ穣は涙をぬぐっていた。
まだ鋭い目線を向けているが確かに涙を流していた。
『なんか嫌だな、俺がいじめてるみたいで。ここでボーラントが『止めてください』とか言って割り込んできたらいいのにな。俺は出来ないが‥‥‥はぁ』
「結局どうなんだ?お前はボーラントのことが好きなのか?」
「‥‥‥‥‥‥好き‥‥‥」
「そう―――」
「好きよ!大好きよ!一目惚れよ!―」
『なんか雲行きが怪しくなったな。』
と思いつつボーラント、俺、マグナ穣が一直線になるよう移動する。
「―どう!これでいい!これが私の本心よ!でもね、私にはこんな枷があるせいで本心なんて言えないのよ!何かの拍子でボーラントが傷つかないか心配なのよ!だから気づかれないように料理したりそれだけでよかったのよ!でもあんたがばらすから!はぁぁぁぁ!!!」
「え、ちょっ――」
キィン!
「わ!」
「あ!」
ドサッ
『ふう、何とかなったな。あとは二人にまかせ―――とと、魔力消費しすぎたな。』
俺はややふらつきながら二人から見えない位置で廊下に座り込んだ。
『あーー頭痛いてぇ。』
「どうぞ。」
声をかけてきたのは名前の知らないメイドだった。
メイドは小瓶をのせたおぼんを差し出している。
「‥‥ありがとう。」
俺は構わず小瓶の中身を飲み干した。
すると一割程しかなかった俺の魔力が八割強まで急速に回復した。
「魔力ポーションか。」
「いえ、ただの水です。」
「は?」
「今お渡ししたのは水です。」
「えっと、はい。」
ごり押された。
水を飲んで体調も良くなったので二人の様子を伺うと、外庭におらず慌てて『超感覚』を使うと、どうやら中庭にいるようだったのでこっそり覗いてみた。
そこには、ベンチに座っているマグナ穣に向かって、ボーラントが跪き何かを(俺は何も聞こえない。決して聞こえていない。)言っているところだった。
やがてマグナ穣が泣きながらボーラントに抱きついた。
『これで無事パッピーエンドだな。さてと、帰ってからメイリーズに行く準備するか。』
遅れました