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あれからボーラントの、他人の魔力を速く自身の骨へ貯める特訓を二日やっているが、
『目立った上達は無しか。ま、感じ的に魔力操作とかそな辺が重要になっていそうだし。あれレベル上がるの遅かったからな。ただこのまま特訓を続けても、いつ終わることやら‥‥‥魔力量が低いから『一度に動かせる魔力が少ない』=『成長が遅い』ってことになるからな‥‥‥どうしたもんか。』
俺の特訓したときの感じとして、魔力量の上昇変化は右上がりだと思う。
まだ赤ちゃんだったころよりも六歳ぐらいの時が一番魔力量が上がったからだ。
もしかしたら、幼少期から魔法や魔力の練習をしていると、将来すごくなる。的な事があるのかもしれないが、今も一応、低いとはいえ魔力量は上がっている。
『骨魔法で魔力を貯めてると言っても、貯めてる本体はボーラント自身の骨だから、骨に異常もしくは健康でないからか?』
「ボーラント。お前、牛乳飲んでるか?」
「牛乳‥‥ですか。僕、牛乳飲むとお腹壊すんですよ。」
『乳酸を分解しにくい体質か‥‥‥』
「となると‥‥‥‥‥‥どうしたもんか‥‥‥」
「やれることは全てやりましょう!マグナ嬢のためなら牛乳ぐらい‥‥‥どおってことないです!」
「そう言っても、確証が無いからただただ苦しむことになるかも知れないぞ。」
「可能性があるのなら!」
ボーラントとはこの二日間でだいぶ打ち解けられた。
マグナ様だったのがマグナ嬢に変わっているし、マグナ穣の事を意識しているのかもしれない。
とうの本人は自分の部屋に引きこもっている、らしいが。
『俺は俺で、何か解決策を考えなきゃな。』
次の日、ボーラントは体調不良、マグナ穣は引きこもり継続で何もなく、さらに次の日。
「すみません、昨日これなくて‥‥‥」
「問題ない、どうせ牛乳飲んで腹壊したとかだろ。」
「はい‥‥‥」
「まあいい、今後の方針なんだが‥‥‥ボーラントの骨を進化させる。」
「‥‥‥はい?」
「まあまず話を聞いてくれ。」
今のボーラントでは突発的な大量の魔力を全て吸収することは出来ない。そして、今のまま特訓していてもあと何年かかるか分からない。
なら視点を変えて、骨が魔力を吸収しやすい物にすれば解決するのでは、と考えた。
「本当に出来るんですか?」
「分からん。ただ『骨魔法』を使えるボーラントなら可能性があるんじゃないかと思ったんだ。」
「‥‥‥やってみます。」
そして、今日になってやっとマグナ穣が部屋から出てきたので、また打ち合いの特訓を‥‥‥
「‥‥‥コロス‥‥‥」
と、両手に真剣を持って斬りかかってきたのを合図(?)に始まった。
「いきなり真剣かよ。」
スパァン!
俺の持っていた木の剣が真っ二つになった。
『持ってるのはそこまでいい剣じゃない。てことは『激情強化』中か。』
ガキィン!
俺も真剣を出して、マグナ穣からの攻撃を受け止めた。
『いつもよりもちょっと強いな。!』
急に超感覚に四つ何かが引っ掛かり、俺の方に向かってきた二つを避けると先まで俺のいた場所を剣が二本通りすぎ、地面に刺さった。
「チッ」
「チッじゃねえだろチッじゃ。」
『本気で殺しにきてんじゃんか。たぶん『磁力魔法』で引き寄せたんだろうな。となると後ろの反応は剣を持ってた従者かな。』
刺さった二本をひとりでに抜け、剣先を俺に向けてマグナ穣の近くにとどまった。
「なんだ、四刀流か?」
「‥‥‥ウルサイ‥‥」
そして本当に四刀流で俺に打ち込んできた。
手に持っているの二本はある程度行動が強制されるが、浮いている二本は俺に向かって縦横無尽に斬り付けてくる。
さらに俺の持っている剣が同じ極に近づけたみたいに反発して攻撃を受けにくい。
だが俺はそんな中で、もう一つ反応のあった方に目線をやり、それがボーラントであると確認して、
「良かっただろ、ボーラントに手料理を作っていたのがばれて。」
「‥‥‥ウルサイ‥」
「ボーラント、恥ずかしがってたが嬉しそうだったぞ。」
「‥‥‥ウルサイ」
「お前も―――」
「うるさい!!!」
「人の気持ちが分からないあんたの言葉なんて聞きたくない!」
「失礼な、日の浅い俺ですら分かるぐらいバレバレだ。隠し事をすることは悪いことじゃないが、隠すってことはいつかはバレこともあるもんだ。」
「うるさーーーい!!!」
マグナ穣の感情が高ぶり、地面が揺れ、割れ、そして俺が地面に吸い寄せられていく、
『『ちっぽけな世界』!』
これにより地面が俺に吸い寄せられることが無くなり、マグナ穣が操っていた剣も落ちた。
『さすがにマグナ穣がら溢れた魔力を自分のにってのは出来ないか。‥‥‥おっと。』
ガキィン!!
「くっ!」
『嘘だろ、ちっぽけな世界は発動してるはず。なのにいつもどうりの威力はおかしい。‥‥‥この中で身体強化できるのは俺だけじゃないってことかよ。ただ、落ちてる剣を見れば、魔法は俺の魔力を消費して無効かしてるな。せっかくボーラントがいたから上手く転ばせてくっつけるつもりだったのによ。』
「はぁぁぁぁ!」
「おらぁ!」
ガキィィン!