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シスタールカと会ってからすこしして、俺は立ってみることにした。もともとつかまり立ちをちょくちょくしてたのでもしかしたらできるかも、と思ったからである。
まあ、立ったときのシスター達の驚きようはすごかった。
そしたらその日から、エルフのセレナと同じ部屋になった。
「あう~」
セレナが俺の顔をペチペチと叩いている。ちょっと痛いがセレナは面白がってるからいいか。
ちなみにセレナの眼は蒼眼だった。
『どうやら俺がセレナの耳を叩いたことは、覚えてないみたいだな。もう一回さわらせてもらお。』
俺は前回の失敗を生かし、腕に魔力をまとわせ、魔力が俺の腕を動かしているように操作した。
『よーし、これなら。』
クニュ。
『あ、意外に固いんだエルフの耳って。まあそれもそうか、長い耳を支えているんだもんな。』
魔力操作がうまくいき、ちゃんとセレナの耳をさわれた。当の本人は、
「ふにゅ~」
とっても気持ち良さそうだった。
それから毎日隠蔽で俺の魔力を隠しながら魔力を放出したり、新しい魔法を作ったりした。隠蔽は成功してるか確認ができないが、体感的にはできてるなと思う。新しい魔法は以外とすんなりいった。
『新しい魔法‥‥‥新しい魔法‥‥‥うん~。今ある魔法を組み合わせたらできるんじゃね。そうすると、やっぱ今使える全部の魔法を、組み合わせてみたいよな~。ふっ、どんな魔法ができるのか楽しみだな。』
結果、すべての魔法を放った場所に白い靄がかかった。
『?なんだこれ。ステータス見てみるか。』
ステータスには『霧魔法 Lv1』、『身体操作 Lv1』の3つが新しく在った。
『身体操作は‥‥‥何だ?あまいいや。でも霧魔法って、いかにも攻撃性がないよな~、風で吹き飛ばされそうだし。使うとしても隠れるぐらいで‥‥‥。隠れるか、ならいっそ殺し屋とかで稼ぐか?親殺してるし。でもやっぱ冒険者やってみたいな~。てかそもそも冒険者ってあるのか?この世界に。』
「あうー?」
『あ、セレナ。起きたか。』
そして俺は、こうしたのびのびとした時間を過ごした。