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『シエラにとって呪い‥‥‥か、そう言えばカールズと会ったとき護衛の獣人がシエラに膝まずいていたから、それも関係がありそうだな。それにしても‥‥‥貴族だろうとは思っていたが、まさか王族だとはな。』
今俺はバイオレットさんの別荘の個室で、さっき盗み聞きした内容について自分なりに考えていた。
『ま、シエラが王族だろうと俺には関係ないか。いつかシエラがその事を言うまで俺も待つか。』
「昨日今日と本当にありがとうございました。指名依頼なのになんかもてなされちゃって‥‥‥」
「ハハ、構わないと言ってるじゃないか。あれは私が勝手に指示したものだからね。今度何かあった時は君達に依頼するとしよう。」
「期待に答えられるよう頑張ります!」
「ハハ。まあ、これからも冒険者を頑張りたまえ。」
「はい!」
こうして俺達の貴族からの指名依頼が終わった。
ちなみに報酬なんかはその場で渡すこともあれば、後でギルドから渡される、二通りがあり今回は後でギルドから貰うようになっている。
ギルドからだと数日かかることもある。
依頼が終わった日の夜、俺達は部屋に集まって話し合っていた。
「ねえ、最近本気で戦ってないから腕が鈍りそうなの。だからもう、実力隠して冒険者やるやめない?」
「‥‥‥そうだな、じゃあ明後日からそうしよう。」
「え、そんなあっさり決めていいの?!」
「私も賛成よ。全然魔法使って来なかったし、明らかにばれてそうだし。」
「え、私はしっかり隠してたわよ。」
「リーンさんが火精霊魔法を使える時点で、セレナが強いのは分かってるんじゃないかしら。」
「ええ!?私の努力って‥‥‥」
『魔力で矢を作ってたじゃん、しかもそれに精霊魔法使ってたし‥‥‥俺もまあスピサの街でやらかしたが‥‥‥』
「まあそう言うことだ、明後日から本気で。」
「‥‥‥何で明後日からなの?」
「‥‥‥今日昨日といろいろあったからだ。」
「?」
「じゃあ明後日から本気で、明日はお休みね。」
「え、明日休み?」
「じゃあお休み。」
「さっ、私たちも寝ましょ。」
「え、え、ええぇ‥‥‥」
***
「本当によろしかったのですか?」
「あの子達をそのまま帰した事かね?」
「はい。」
マンジュリカ公爵の別荘にて半龍族のイルマが現当主であるバイオレットにそう話しかけた。
「第一王子の降格のこと。もしその事が他者に知られれば‥‥‥」
「確かにそうだが、あの子はそこまでバカじゃない。もしそんなこと言えば自分が不敬罪で罰せられる事ぐらい分かると思うが。」
「それでもです!っ、失礼しました。」
「かまわないさ。君なりに私の事を心配してくれたものだから。」
「ありがとうございます。」
「ふー。まあ、先にあの子達の実力を知るとしよう。」
「と、言いますと?」
「ふふふ、貴族ならではの血の繋がりを使ってだね‥‥‥」
***
「どうした?浮かないか顔して。」
「ええ、ちょっと家から手紙が来てね。」
「ふーん。どんな内容だ?」
「はい。」
「ふんふん。冒険者、レイ、セレナ、シエラの実力を調べてほしい。この依頼はこ、公爵家!?」
「し!うるさい。」
「お、おお。悪かった。にしても公爵家からの依頼とは、確かにお前ん家は子爵家だろ?よくまあ公爵家何かと繋がりがあるな。」
「ええ、何でもかなり前に家から公爵家に嫁いだ人がいるのよ。だから少なからずこのマンジュリカ公爵家とは血縁関係があるの。たまに援助してもらってるみたいだし。」
ピッ、
「はぁ。この依頼‥‥‥どうする?」
「どうするもこうするもやるしかないだろ。お前ん家には何かとお世話になってるし。」
「そうよね~‥‥‥ギルドを通してない依頼は報酬がいいし。」
「その分後ろめたい事なんかあるが、今回はそんなことないだろ。」
「そうね。じゃあ明日やりましょ。」
「おう!」
やる気が出なかったんで今日は一話だけ
来月からはいつもどおり最低月一投稿に変わります