テカテカ伝染
起きて始まる一日
こんなにも優しい日は
いつも君が居て
生まれたばかりの素の顔を見せながら
朝の温いコーヒーに口をつける
出会ったばかりの頃
急にコーヒー飲んで
舌を火傷してしまったことを
君は覚えていて
その温度でばかり
目の前に置いてくれる
「あなたの温度」と言いながら
いつも同じ温度で
コーヒーを飲んだ
僕に対して
変える必要は無いと云うかのように
君は自らを変えていく
添い遂げるとは
君のように行動することを言うのだろう
変化の話になった時
君は「変わったね」と言った
僕に対して言ったのだ
否定してみると
「変わったんだよ」
そう言って
君は笑っていた
僕はそんな気は無かったから
暫く自問自答して
君が言うなら間違いないと
素直に思った
顔に出ていたのか
君は「そういうところ」と言って
また笑った
削れたのか
削ったのか
全く分からないが
そうやって
カチリと
はまる瞬間が
どんな恋にも、愛にもある
それを続けたいと願う時
君はどんな行動をしようと
考えるだろうか
相手にどんな行動をさせたいか
そんなことでは無くて
君はどんな行動をするだろうか
受け取るだけ受け取って
捨ててしまっても良いが
それは手放すことが前提となっている
君はその中で何を得たいのだろう
恋や愛の中で何を得たいのだろう
髪を切ってきた君は
少しゆっくりと回った
スカートがふわりと
外側へと持ち上がる
前の髪型も好きだったから
「引き分け」と僕は言った
君はそれを直ぐに理解して
嬉しそうに笑った
「髪を切る前に写真撮ろうかな」
子供じみたことを付け加える
「ツーショット?」
僕の問いに
「カメラマンさん、よろしく」と
君は笑って言った
きっと沢山見れるように
カメラマン役にしたのだろう
そう思って
横に座った君へ顔を向けると
グロスの塗られた唇で
軽いキスをされた
「テカテカ伝染」
君は言いながら
寝室へ着替えをしに歩いて行った
夕方のニュースで
水族館が紹介されていた
僕は見ながら
スケジュールを考えている