表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

当機立断、来る時

樫の木ならぬ、武田本家は残った。

当代が、他ならぬ織田の婿だからな。



さて、甲信に覇を唱えた武田は消えた。

先代の威光なんてむしろ邪魔。


特に信濃は搾取の場だった訳で。

随時領国化が進んでいたとは言え、だ。



甲斐と信濃の一部のみが武田の領国として認められた。


そして東駿河は穴山に。

信濃は木曾と仁科、依田などに分割配布。

上野の真田と矢沢は武田の与力を望んだようだが、形式上は全て俺の配下で同列だ。



武田の次期当主は、織田の血も引く武田信勝に内定。

破ったら滅ぶだけだぜ。


武田義信?

ああ、居たねそんな奴。


や、当初は武田義信を甲斐に配することも考えたけどね。

結局は織田の血脈を優先した。


まあ、これまでの苦労を鑑みて斯波さん並の待遇を用意してやったよ。


半分以上、生ける屍になってたからね。

最後まで風聞の域を出ず、公式には自害したことになってるし。

ちょっと可哀想に思ってしまったんだ。


だから秘密裏に、離縁した奥さんと娘を呼んで同居させてやったよ。

多少は、心穏やかに暮らせますよーに。




ところで穴山が通じて煽りに煽った挙句、武田は暴発して半ば自滅した訳だが。

その武田と連携を強化してた北条はどうなったのか?



答え。

今、俺が攻めてるよ。



余りにも武田の暴発崩壊が早かったもんだから、ロクに準備も出来ずに備えもギリギリ。

幾つかの城に籠って頑張ってらっしゃる。


里見や佐竹に応援は要請してない。

今後の見極めも兼ねての北条攻めだ。



見極めと言えば。

この機に乗じて朝倉とかが動くかと思ったんだが。


動かなかった。

意外と慎重だね。


鈍重と言い換えれば、余り意外じゃない気がするのは何故だろうか。

やはり史観の影響かねぇ。


動かないなら、それならそれで構いやしない。

動かない以上は放置すると信長とも確認してる。



その信長は、先日遂に毛利とぶつかったそうな。

四国へも進出して、三好も長宗我部も蹴散らす方針と聞いている。

並行して、九州の大友や龍造寺とも使者を往来させてるとか。


キリシタン被れの大友と仲良くするのは危険だと言いたいが……。

南蛮被れの信長からすると、問題無いのかも知れない。


ま、今はほっとこう。


生き残って何かやらかしたら、その時に潰すだけだ。


俺は俺で東国の経営がある。

まだ治まってないけど、色々青写真は描いてるし準備に余念がない。




北条降服。


惣構えも完成してない小田原城なぞ、物量の前には朽木も同然!

ごめん言い過ぎた。


潔く降伏した北条本家には、伊豆と相模を残してやろう。

南上野に分家を配し、武蔵はまるっと頂くことに。



望めば直臣、拒めば陪臣。


どこでも一緒の同じルール。

分かり易くて良いよね!



里見は俺たちに通じることなく、落ち目の北条方を攻撃してきたから滅ぼした。

漁夫の利は許さんよ?


佐竹や宇都宮はまだ利口だった。

余計な掃き掃除を省略出来て、助かったよ。



さーてお待ちかね!


伊達を潰すぞっ



蘆名と相馬は俺に降った。

最上と小野寺、大宝寺。

大崎、葛西に伊達、戸沢も降って来た。




えっ?



いやまあ、降って来たんなら仕方が無い。


それにまだ、独眼竜の時代でもないしな。

判断が無難な方に行くのも分かる気はするが……。

予定してた戦が無くなってしまった。


しかし、まこと奥州情勢は複雑怪奇。

いつ何が起こるか分かりもせん。

警戒は続けておこう。



そして、北へ。


とは言え、ずっと北上するのも面倒だな。

残るは南部に安東、九戸に蝦夷蠣崎くらいだ。

臣従か否か、先だって通達を発しよう。


そんで、軍勢は何も俺が率いなくても良かろう。

もうそろそろ良いオッサンだし。

次代に任せるとしよう。



後詰。

良い言葉だ……。



だが楽をすれば身体が鈍る。

それは良くない。


まだ、俺の野望は成し遂げられてないのだから。




幾つかの豪族を滅ぼし、大体の大名が臣従を表明。


俺は東日本を平定した。



一方、西では毛利・長宗我部が降り、中国四国は制圧された。

九州の諸大名も、そのほとんどが臣従を表明。


信長は西日本を平定した。




日ノ本は織田家の元に収束した。




かに見えた。



でも、そーじゃないんだよねー。



足利将軍が在中だとか、朝倉の立場が宙に浮いてるだとか。

問題はそこじゃない。



確かにこの国は織田家の支配下に落ち着いた。


だがしかし。


織田家は二つある。

俺の上織田家と、信長の下織田家。



現在、ほとんどの奴はこう思っているだろう。


織田家の頂点に立つ信長、その下に上下織田家が存在する。

信長は下織田家の当主を兼任してるだけに過ぎない、と。


俺こと織田信清は、織田信長率いる織田政権のナンバー2の立場である、と。


一族一門家臣領民。

その他の諸侯。


ほぼ皆そう思ってる筈だ。


実際、官位や諸事での立場なども全然違う。

俺も織田家では特別な地位に居るが、織田家嫡流当主・信長とは違う。

それは事実。



でもね?


違うんだよ。

そうじゃないんだ。



俺は信長のライバルなんだ。


まあ、私的なと付けてもいいけど。



昔、俺は言った。

天下を望んでいると。


信長は応えた。

全力で迎え撃つと。



俺が北に向かって進み始めた頃。

信長が畿内を抑え、西に目を向けた頃。


俺たちは、その時が近いと言う認識を共有していた。



さあ、決着を付ける時だ!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ