黄色のないパステル
禊の空が晴れるなら。
この手をもって贖おう。何もかもを
色のない世界で
女の子はパステルを拾った。
誰かが使い古したような
とても古くて、綺麗なパステル。
パステルのとても鮮やかな
色彩に平坦で退屈な世界は
忽ち彩られた。
だけど、そのパステルには
どうしてか、黄色だけなかった。
他の色はちゃんと残っているのに
なぜか黄色いパステルだけ
綺麗になくなっていた。
カラフルに彩られた世界では
やがて戦争が始まった。
明るい赤や橙の炎や
真っ黒や灰色の煙が世界を覆った。
女の子は悲しくなった。
平坦で退屈な世界では
戦争なんて起こらなかった。
みんながみんな
生きていなかったからだ。
みんながみんな、生きているから
戦争が始まったんだ。
女の子は悲しくなった。
ある日、女の子前に
少し背の高い男の子が現れた。
男の子は疲れた目をした
女の子を見るや、そっと彼女を
抱きしめ、『ごめんね。』
とだけ放った。
女の子にはこの人の
やっていることがわからなかったが
男の子はそんな彼女に悲しい声で
言った。
『ごめんね。僕が前の世界で黄色を全部使っちゃったんだ。前の世界で戦争を終わらせたかったんだ。戦争は終わったよ。黄色のお陰でみんな明るい世界で楽しくしている。けど、わかっていたんだ。僕が黄色を使えば使うほど、別の世界のどこかの争いは強くなるのだと。わかっていたんだ。わかっていて、僕は黄色を使い切ってしまったんだ。
だから、ごめんね。
それにもう、時間なんだ。
次に回さなきゃ。』
こうして彼女はただの白になって
しまいましたとさ。
めでたし、めでたし。
まぁ、こんな感じてぼちぼち書いていきますw