閑話:私の大切な人
時風視点です!
私の名前は時風今年で10歳になる。姓はあえて名乗らないでおく。
私は今日、横浜の中華街へとお忍びで買い物にきている…因に警護にあたるのは、私の身の回りを普段から世話してもらっている美濃 太助と美濃 与助…一様兄弟だか、異母兄弟の為両方とも似ても似つかない…。
太助は茶色の髪をセミロングまで伸ばした美人…
与助は黒髪に目付きが鋭く、180cmの完璧な男前だ…
「時風様、お買い物も一段落つきましたし、何処かで休まれては?」
「…そうだな、…あそこの公園にでも入るか」
私はそう言うと、二人を連れて公園の中へと入る…ここの公園は、かなり広く…色々な木が植えられていた。
「綺麗な公園だな」
「えぇ、横浜の繁華街にこの様な場所があるとは…私とても心地いいです」
「…時風様。ベンチを見つけました」
与助が近くのベンチを指を差して、そこに座る様に促してくれる。
「あぁ、……?…あれは!」
私はベンチに座る前にフッと空に違和感を感じ見上げると…そこには赤色の球体が落下しているのが見えた…
「どうかしましたか?」
「今、精霊が落ちていくのが見えた!多分かなり弱っている!助けなくては!」
私は慌てて森のなかを走って進む。…精霊とは自然を守護する妖精だ…多分、あの様子だと魔力の干ばつをおこしている!
「時風様!お待ちください!」
私の後を太助と与助が慌てた様子でついてくる。
私は森の中へ入り、精霊を探すが見つからない…早く探さなければならないのに!
「時風様!落ち着け!…慌てても見つからない…先ずは少し休め」
与助が私の片を抑え、私を落ち着かせようと木の根元から少し離れた場所に座らせる。
「…すまない…珍しく熱くなっていた」
「全くだ」
「先程まで、あんなに歩いていたのですから…お水を」
太助が私に水筒から水をだし、注いで渡してくれる。
「……ありがとう」
「いいえ、…それにしても精霊様はどちらに行ってしまったのですかね?」
「全くだ…でも、感じからして近くのはず…」
そう与助が言った瞬間、頭上の木から…
ボキッ
嫌な音が聞こえた瞬間…
「ぎゃぁああ!?避けてーー!!」
「「「えっ?」」」
私は、その声を聞き頭上を見ると……
…お尻が迫ってきていた…
私は避けることも出来ずに、そのまま下敷きになってしまった…
私はあまりの痛さにと、何かの拍子に頭をぶつけたのか脳震盪を起こし、視界がぐらぐらと歪む。
「…い、痛い……」
私はその一言を言った瞬間…気絶してしまった…
…どの位気絶して居たのかは解らない…だが、太助と与助の声が聞こえ…私はゆっくりと目を覚ました…。
「あれ?…私はいったい…」
「時風様!!目が覚めたのですね!」
「太助……弥助…」
(私は…どのくらい…気絶していたんだ?)
私は意識が覚醒するまで、少しボーッと木の頭上を見た…あまり思い出せない…
「なんか、…二人とも名前が似てません?」
「あぁ、俺と太助は兄弟なんだ」
「きょ、兄弟?!似てない!」
「私と弥助は異母兄弟です、私が6つで弥助が5つの時に…一緒に暮らすことになったんです」
私の意識が覚醒し、取り敢えず二人に話しかける事にした…
「太助、弥助…私はいったい…気絶してしまったみたいだが…」
「時風様、こちらの少女が木から落下しまして…下敷きに…」
「少女?……?!うそ…だろう…」
私は太助の言う少女に目を向ける……
そこには…もう二度と会える事がないと思っていた人物がそこに居た…
(…他人の空似?……違う!確かに彼女だ!
…魂の色も…髪の毛の色も…瞳の色も…
……その愛くるしい顔も…全部、全部!)
「時風様?…」
「り、っリリアン…」
私は嬉しさと感動のあまり、私は…涙が…止まらなくなってしまった…
「と、時風様?!何処かまだ痛い所でも?!」
そんな私の様子を見て、太助がアワアワっと慌てた様子で私の背中をさする。
「ち、がう…違うのだ……貴女…名は?」
「えっと…持越 心です」
少女がそう言う…その瞳は相変わらず、人を引き込む様な力を宿していた…
「…心か…いい名だ…、後日私が探して会いにいこう。今日はもう帰りなさい」
「時風様?!」
太助は私の決断に驚きの表情見せる…まぁ、普段の私だったら親を呼んで謝らせる位はしたのだが…
「えっ…良いの?」
「あぁ」
「…それじゃあ、俺が繁華街の大道りまで送ろう」
「はい!」
その少女…心は笑顔で私にお辞儀をして与助と共に大道りへと向かって行った。
「時風様が珍しい…いつもなら親御さんを呼んで謝らせる筈では?」
「…太助…私には前世の記憶…“レクターバル”世界の記憶が有ることは知っているな?」
「はい、“レクターバル”世界…それは私達の地球と隣り合わせにある世界だと私は時風様から聞いています。」
「まぁ、その知識も転生神から聞いた話だが…“レクターバル”世界から地球に転生して来た者を地球では“申し子”と呼び、魔力がずば抜けて高い事も知っているな?」
「はい、魔力保有者は地球では珍しく、世界の各地で育成機関や戦闘警視庁特殊局・魔力軍部隊も設置されている位です」
「…実はな、先程の少女…心は…私の前世の…大切な人だったのだ…」
「えぇ?!」
「恋人や妻とかではない……しかし、私にとっては…大切な人だ…今でもその思いは変わらない…もう、…二度と会える事がないと…思ってたんだ…」
「時風様…」
「 5歳の時に魂を探した…しかし、見つからなかった…彼女は…別の…世界に行ってしまったと…でも、見つけたんだ!会えたんだ!…だから、私は後日に彼女を見つけて…ゆっくりと話がしたいと思った…」
「…時風様!私!連れ戻して来ます!」
「!止めるんだ!太助!」
「私は時風様にその様な顔をさせる為に、御使いしているのではありません!」
「太助…」
「時風様の会いたかった人なのでしょう?!何十年!何百年!…待ち焦がれ!探していた人なのでしょう!?…私は…貴方様のその様な…悲しい顔は見たくありません!」
太助は言うと…直ぐ様、与助と少女を追って走り去っていた…。
「…リリアン…、お前は…何も覚えていなかったな…」
(…人の記憶の覚醒はそれぞれだ……今度会った時に…思い出してくれると、良いなぁ…持越…心か……あやつらも、2人は確認できた…残りは3人…)
私は…そんな思い馳せながら、二人が戻って来るのを待っていた…
ゆっくりと沈む太陽を見ながら…




