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モチ子はゆっくりと歩き、談話室へと向かう…談話室は、家族の憩いの場として利用されている場所である。
モチ子は談話室へ来ると、コンコンっと静かに鳴らす。
「失礼しますー、、えっ?、直兄ちゃん?」
「よっ!モチ子ー、昨日倒れたって聞いたぞー」
そこには、春さん、アリナ、直、…そして、朝陽と…先程の大きな男性、そして…先程は気づかなかったが、腕を包帯でグルグルと巻いているリハエルが居た。
「!?、リハエル、その腕」
「大丈夫です、心様はお気になさらず。こちらへ」
リハエルが直の隣へ座る様に言う為、モチ子は渋々と…そこに座る。…すると、また扉からコンコンっと鳴らす音が聞こえた。
「はい」
「春、失礼するね」
「雪お婆ちゃん?」
「久しぶりね、心」
雪お婆ちゃんはそう言うと、一番扉から近い所へと座る……。
「では、これより心が眠らされた真実を話してもらいます…先ずは、心、直。こちらは、梟家当主である梟 夕季よ」
「初めまして、心さん。うちの愚息が昨晩は失礼した」
「い、いいえ?」
そう、夕季は言うと朝陽の頭を掴み。一緒に深々と頭を下げる…。
「さて、では朝陽くん。君から真実を聞きましょう」
「…はい。先ずは、心様は我々天族神の"始まりの姫"なのです。」
「"始まりの姫"?」
「"始まりの姫"つまり、貴女は生命の樹の一番最初に、産まれたのが貴女…"始まりの姫"の"ヤハ姫"なのです」
「私が?、、えっ?長女?」
「そんな、、簡単な言葉ではありません。…ヤハ姫様は確かに"生命の樹"から誕生しました…でも、"始まりの樹"の種である最初の天族なのです。」
「"始まりの樹"…ってなんですかそれは」
雪お婆ちゃんがそう質問すると、朝陽は…またゆっくりと話し始める。
「"始まりの樹"それは全ての世界を作り、そして世界の管理者として"生命の樹"を作った樹木、それが"始まりの樹"です。」
「でも、何故一番最初に産まれた、心がそんなに崇められてるんだー?」
「"始まりの樹"は生命の樹を作りました。そして、"始まりの樹"は自らの遺伝子をそのまま、生命の樹に注入し、始めて作られたのが"始まりの姫"なのです。つまり、"始まりの樹"のオリジナル…なのです。我々他の聖族神や天族は、"始まりの樹"の遺伝子を生命の樹がコピーして作られた為、力も弱く…"始まりの姫"は、オリジナルの為、力は膨大であり、それこそ"始まりの樹"に比例する程の力を持っている…我々にとって、崇拝するのが当たり前なのです」
「んー、、モチ子は天族にとっては、真の神扱いって事かー」
「はい、生命の樹は"始まりの樹"に作られましたが、、生命の樹はその力を天界であるここの防御、そして新たな天族の誕生の為、力はそれほど強くないのです」
「ねぇ、朝陽様…じゃあ、"あの方達"って?」
「あの方達は、、貴女を含めたNo.05までの方達です」
「それは、、先に産まれたからか?」
「それもありますが、、No.05までは姫の"側近"なのですよ」
「側近?」
「そうです。No.02は"護衛"、No.03は"給仕であり、世話役"、No.04は"室外護衛"、No.05は"秘書"として、常日頃から姫を守り、サポートしているのです。その側近達は聖族神の中でも権力があるのです」
「なるほどね…全然思い出せないし、、実感が湧かないんだけどさ、、それじゃあ、地上に私を送ったのは?私はいらなかったの?」
モチ子がそう質問すると、、朝陽は慌てた様子で…。
「ち、違う!!我々は姫がいらなくなったのではなく!!守る為に!!」
「落ち着け!!」
興奮して、声を荒げる朝陽を止めたのは…側に座る…夕季だ。
「興奮するな、ゆっくり落ち着いて喋りなさい」
「…失礼しました。…私達は姫を捨てたのでは無いのです…今から約5000年前…"悪魔族"…しかも、"魔神族"、、奴等から"宣戦布告"受けました…しかも、その要求は……"始まりの姫"つまり、心様を渡せ…と」
「わ、私?!」
「はい、、私達は、姫を決して渡さない…そう言いました。…しかし、エデンの園に直接、、魔獣を送り込んだり、、姫を誘拐しようとする悪魔族が現れたりしたのです、私達は姫の事を一番に考え、、天使に転生させ、そして地上へ送る事にしたのです」
「そんな、、私は知らなかった」
雪お婆ちゃんは顔を真っ青にして言う……雪お婆ちゃんは100年以上前に、転生神として天界に居たのだ…知らなかったとは言え、、まさか、攻撃されているとは思ってなかったらしい。
「天族全体に知られる訳にはいかなかった…だから、上級神までに情報を伝え、情報を隠蔽しました、、そしてNo.02、No.03、No.012そして、私No.021が地上へ先に転生し、幼児の姫を守る為に側に居たのですが、、転生する順番、年代が違った為、私は前世では姫様の側では無く、人間として産まれ、、記憶も戻らず…そして、今世では姫と一歳差で産まれてしまったのです…しかも、No.3の気配はどこにもなく…天界にも戻って居ない様なのです」
「ねぇ。そのNo.03は、、もしかして他に役目があったんじゃないの?」
ここで、アリナが…朝陽に質問する…そのアリナの態度に、モチ子は確信する。
(まさか、、だけど)
「No.03には、、姫が産まれる為の"母親"として、近くで守る義務を与えたんだ…だが、、」
「ありがとう、、もういい」
アリナ、春さん、、そして直が苦い顔をして、真顔でいる…。
(あぁ、、直兄ちゃんは知ってたんだ…私が"本当の妹じゃない"って……そりゃそうか、、直兄ちゃんや巧兄ちゃん達は…その時の年齢だと…もう、分かっている筈だから…….)
モチ子は確信したのだ、、モチ子の本当の母親はアリナではなく、、No.03という天族が、、私の前世と今世の母親であると言う事を…。




