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モチ子は……今は、、暗く、とてもあったかい場所にぷかぷかと浮いていた…。
(あったかい…とても、、居心地が良い……これは、夢だよね…)
モチ子は一人で考えて居ると………どこからか、、歌が聞こえる
《〜♪、〜〜〜♪〜〜♪》
………その音色はとても美しく、、何か楽器の音も聞こえて来る……静かで、とても心地良い音色
(この音楽……どこかで、聞いた様な、、気がする……どこで?)
モチ子がそんな事を考えて居ると、、歌は止み、声が聞こえて来る。
《貴女は、私がお守りします。ヤハ姫》
(ヤハ姫?って……何処かで聞いた、、?!、朝陽様が言ってた名前?!)
《名前は何にしましょうか?、、んー、産まれてから考えれば良いですよね?》
(産まれてから?……って事は?!これは私の前世のお腹の中に居る時の記憶?)
……モチ子は、考えた結果、これはリリアンの時の…まだ、お腹の中に居る時の記憶だと推測する。
ーーーーーすると、暗闇だった世界が……いきなり、、眩しい世界へと変わっていく……しかし、モチ子は相変わらず動かず…ぼんやりと、明るい方をずっと見つめる。
(眩しいよ!……)
《おぉ、産まれたか!》
《はい、、とても、可愛らしい女の子です》
(んっ?、、この人達の声…何処かで…)
《そうか、、名前は決まったのか?》
《いいえ、まだ。…2週間ほどありますから、ゆっくりと決めます》
《そうか、今はゆっくり休みなさい》
《はい、お兄様》
……モチ子は、ふっと思ったのだ…2週間…つまり、役所に出生届を出す期限……これは"リリアン"ではなく、"心"としての記憶だと……しかし、、。
(私の赤ちゃんの記憶……でも、おかしいよ……なんで、"お母さんの声じゃ無い"の……)
……そう、今聞こえるのは母親である"アリナではない"人……つまり、モチ子は、アリナと春さんの"子供じゃない"…
(そんな、、そんなの、)
モチ子は、、自分がアリナと春さんの子供じゃない事にショックを受ける……しかし、モチ子は、、
(本当のお母さんは、誰なの?)
モチ子がそう思っていると、、いきなり、モチ子は誰かに担がれ……モチ子の体は揺れる……光の方に目をやると……ぼんやりとしているが分かる……体はあったかいが、顔が冷たく、、冷たい何かが頬に当たる……今は外に居て、走って居るのだろう…
《はぁ、はぁ、はぁ、、っ、このままでは、》
……モチ子のぼんやりとした目に写って居るのは、女性であろう…長い髪……、顔は見えない…
《はぁ、はぁ、、ここなら》
そう女性は言うと、、雪の当たらない、、誰かの玄関先へと向かい…そこにあった、段ボールにモチ子をゆっくりと入れる…そして、何かを書き始め…それをモチ子の胸元へと置く。
《はぁ、っ、貴女は、渡しません、、どうか、、見つからずに、、貴女のこれからの名前は"心"です。…優しく、人の心に寄り添って、、強く、生きて下さい》
…女性はそう言うと……モチ子の頬へとキスをする……そこで、顔がはっきりと見えた……
(えっ?!、"前世のお母さん"?!)
その女性は、、モチ子の顔を見つめ、スッーっと涙を流した後、、決意した様にバッと走り去って行く。
(待って!!お母さん!!!)
その声のせいだろうか、、赤ん坊のモチ子は《うぇ、う、うぇぇぇえええー》っと泣き出す…
(お母さん!!お母さん!!!お母さん!!!)
しかし、前世のお母さんは一向に現れず、、代わりに、家の扉が開き、、。
《まぁ?!、赤ちゃん?!っ、、園長先生ー!》
その出てきた女性は、見つけたモチ子を抱き抱えると…暖かい部屋の中へと入れ、、園長先生の所に着く…。
《どうしましたか?》
《実は、赤ん坊が》
《あら、まだ産まれて2週間位かな?…ん?この紙は?》
《あら?気づかなかったです》
そう、言うと…園長先生らしき人が、モチ子の胸の辺りに挟まっていた紙を見つけて読む…
《なるほど、、三津子先生。1週間預かりましょうか、、そして、この子は心ちゃんらしいですので、面倒見て下さい》
《は、はい。分かりました》
……モチ子を持っている先生のあやし方が上手いせいか、、モチ子は段々と眠くなっていく……
(ヤバイ……全然、、お母さんの情報、手に入って、ない、のにぃ……スピー、、)
モチ子は夢の中で眠ってしまい……そこから、ゆっくりと昇って行く感覚を覚えた。
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モチ子は目を覚ますと……そこは、自分の部屋であった。
「あれ、、私……っ、?!き、、キキキ、キス…」
モチ子は目覚めて、昨日の事を思い出すと……真っ赤になり、、自分の唇を押さえる……
「……うぎゃぁぁぁぁああーー!!」
モチ子はベット上で、、ゴロゴロと転がりながら……凄い声で叫び出す。
「あの!!クソ男ーーー?!私のファーストキスを奪いやがったぁぁぁぁあ!!この屈辱!!未来の旦那様に取って置きたかったのにーー!!」
そこからも、モチ子は堂々と叫びまくる……。
「なーにーがー!!未来の奥方だぁぁぁぁあ!!クソ男めぇぇえええ!!」
「も、モチ子」
…モチ子はその声を聞いて……ギギギっと首だけ、扉の方へ向けると……そこには、、春さん、アリナ、リハエル、頼子、竜也、綺羅に…執事さん、メイドさん達……そして、その奥では、大柄の男性が床に誰かの顔面を叩きつけて、、動かない様に押さえていた…。
「えっと、、、おはよう?」
すると、モチ子に竜也と綺羅がゆっくりと近づき…モチ子の肩へ手をやると…。
「モチ子、その"ファーストキス"は"誰"にされたんだ?」
「そうだねー、"誰"からされたの?」
竜也と綺羅は物凄い、、怒った顔でモチ子へと問いかける……
「えっと、あの、」
「竜也くん、綺羅くん。モチ子が困ってるから、その辺で」
「…分かりました」
「……」
竜也と綺羅はまだ、怒っているが…モチ子の肩から手を離す。
「モチ子、実は色々と話があってね…とりあえず、着替えて皆んなで食事をしたら。談話室に行こうか…あ、竜也くん、綺羅くん、頼子さんは申し訳ないけど、食事後は部屋で待っててくれないかい?」
「はい」「わかった」「了解ですわ」
「それじゃあ、一旦退出しようか。メイドさん達、準備を」
「「「はい」」」
そう言うと、春さん達は…モチ子の部屋を出て行く……モチ子は、正直…あの夢の事を聞くのが怖いのだ……。
(…とりあえず、準備をしてからだね!)
モチ子はメイドさん達数人で着替えなどを行い、、皆んなで昼食を取ると……一旦部屋へと戻り、、談話室へと向かうのであった。
次回投稿は2021年1月21日18時予定。




