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翌日、モチ子は昨日の影響か38.5度の熱を出し部屋で寝込んでいた…


「うぅ…」



「大丈夫?モチ子?」



「光兄ちゃん…」



「せっかくの夏休みだけど…これじゃあ、残りの六日間はおとなしくね?」



(…うぅ、折角光兄ちゃんに勉強教えてもらおうと思ったのに…)っとモチ子は思っていた。




「それに、竜也くんと喧嘩したんだろう?学校が始まったらちゃんと謝らなくちゃ」



「分かってる…」



「よろしい、それじゃあ僕は母さんか心配しないようにメール入れてくるね」



そう、光は言うと部屋から出ていった…。




「竜也…まだ、怒ってるかな?」

モチ子はそう考えると、睡魔が襲い静かに眠りについた…













「なんで!お前がここにいる!」






「ん?」

モチ子は突然の怒鳴り声で目が覚める…


(さっきの声は?誰だろうっ)と思うと布団から起き上がり、部屋の扉を開けてリビングに向かう。





「ちょ、直兄さん」



…先程の怒鳴り声は直のようだ…



(直兄ちゃんが怒ってる?珍しい…はっきり行って貴重だっ)とモチ子は思うとリビングの扉に手をかける。





「直…」お母さんの言葉と共にリビングの扉を開けると…そこでは、直が黒髪のモスグリーンの瞳をした、イケメンの男性の胸ぐらを掴み、殴り倒そうとしていた。






「…何してるの?」




「「「「も、モチ子?!」」」」






「…直お兄ちゃん…例え、許せない事があっても人は殴っちゃ駄目だよ?」



「いやー、そのー…」




「…お仕置きが必要?」




「すみませんでした、モチ子さん」

直は素早く男性から離れ、モチ子に対して土下座をする。





「…許す、って…この状況は何?」




「モチ子、…その」




「良いよ。アリナ…私が説明する」

そう答えたのは、先程まで直に胸ぐらを掴まれていた男性。




「お母さんとずいぶん親しいみたいだけど…」





「私は(ハル)…君達の行方不明だとアリナから聞かされていた“父親”だよ」












(……はい?)












「…え?それって…再婚って意味?」




「違うわよ、…この人が血が繋がったあなた達の父親よ」




「お母さん、それ本当?」




「こんな嘘、娘に言うと思う?」




「思いません」










(…まさか、行方不明だと聞かされていた父親が現れるとは思いもしなかった…)




「それで…今さら何しに来たー」

直が冷たく言うと春さんは…




「…皆を迎えに来たんだ」




「迎えに?…何か今まで事情があったみたいですね」光がそう春さんに向かって言うと春さんは頷く。






「今までは…命の危険性が有ったんだ」




「命の危険性?」巧がそれに反応する。




「そうだ…私はファクター社の取締役代表を勤めている」




「「「ファクター社!?」」」

直、巧、光が驚きの声をあげる。




「?ファクター社て何?」





「知らないか?て、てててってウィット!」



「それ!新しく出来た新幹線の名前!」




「その通り、ファクター社は世界を相手に活躍する日本の機械や重機の販売とか…後、最近では医療用機械開発にも力をいれてるんだよ」



光はあまり難しくなく、モチ子に説明する。




「まぁ、それは合ってるが…経営している一族が何処だか知ってるか?」





「そう言えば聞いたことないな…」

巧が考えているようだが…結果は解らなかったらしい。




「秘密事項だからな…その一族は、“(ミカド)”だ」





「帝って…あの?!」

直は驚いた様子で春さんを見つめる。




「帝って?」



「あぁ、モチ子と光は知らなくて当然だ。皇帝の一族については中学3年の10月位で習うからな」




「それで、帝って何?」



「まぁ、先に皇帝様はしってるよなー?」



「知ってる!この国の頂点!」



モチ子の言葉に直は少しため息をつく。






「間違ってはないー、でも皇帝一族は日本の代表として世界各国王族のパーティーや会議、葬儀、結婚式とかに参加しなくちゃいけない義務を持ってる」




「何か大変そう」



「まぁー、その皇帝一族から分家として与えられたのが“帝”一族と“(フクロウ)”一族だ」




「って、事は春さんはその帝一族が経営してる会社のほぼトップだから命を狙われてたってこと?」



「まぁー、理論上はな……おい、親父まさかだとは思うけどー」




「多分、直が思ってる通りだよ」



「やっぱりー?」



「どう言うこと?直兄さん?」



「光…、僕達の父親は“帝一族の当主様”ってことだよ」






その言葉を巧が言った瞬間、モチ子と光は唖然の表情で固まるしかなかった





「私も帝一族の当主になったのはつい最近なんだ」



「…なんか、頭が可笑しくなりそう!」



「モチ子…それは自信満々に言う言葉じゃない」



「ごめんなさい」



(…私としたことが、つい変な所でテンションが上がってしまった…)







「…けれど、春さん意外の帝一族の人だって狙われる可能性だってある。僕達なんて、格好の餌食な筈なのに…」




光の言葉に春さんは頷く





「だからだ。アリナ達を完全に守るには姿を隠さなくてはいけない必要があった…だから、私はこの田舎町に目をつけて組織の目から隠したんだ」




「なるほど…」




「この2年で、帝一族を狙う組織を一通り排jy…居なくなったから、やっとこの時期に迎えに来れたんだ。」




「でも、私達…どこで暮らすの?」




「帝、梟一族には大昔に国から莫大な土地と建設費用が与えられたことがあってね、東京の中心から少し郊外ではあるけど立派な洋館があるんだよ」





「洋館?!…てなに?家と何が違うの?」



「…モチ子、少し喋らないほうがいいかな?」



「ごめんなさい、光兄ちゃん」



「…光は怒るとアリナそっくりだね」



「血は争えませんから」




「…おーい話がそれてるぞー、…それで、親父。俺達はいつ引っ越すんだよ?」




「急ではあるんだけど…明日なんだ」




「明日?!春…急すぎじゃない?皆の学校はどうするのよ?」




「申し訳ないが…光と直は今の学校を卒業するまでは、護衛をつけてここから通ってもらいたい…二人ともいいか?」




「…今回は、仕方ないなー」



「僕も大丈夫です」



「…ありがとう、…巧と…心?」



「モチ子で良いよ!」




「そうか、…巧とモチ子は東京都内の学校に転校してもらう…聞けば巧は成績優秀だったね。明日以降に都内の高校のパンフレットを渡すから」



「はい、」



「モチ子は…どうしようか?」








「んー…、私は学校行きたくない!」




「「「「モチ子?!」」」」




「…そうか…、…取り敢えず、明日から忙しくなる。…私は一回本社に用があるから、今日はおいとまする…それじゃあ、また明日ね」




「ちょと!春!」

母さんはリビングを出ていく春さんを追いかけて玄関へと向かって行った。




「モチ子!学校行きたくないってどう言うことだ」巧はモチ子に怒りの声で言うが…




「…だって…、私…友達なんて…」



「……はぁ。確かに、モチ子は竜也と綺羅しか仲良くないか…」



「それに…私…竜也と…仲直りしてない…」




「モチ子…気持ちは分からなくない…でも、今回は仕方がない…家の都合だ」




「分かってる…分かってるけど…」



「モチ子、ご飯食べて早く寝な?熱が長引くよ」




「…うん」



モチ子は光の言う事を聞いてご飯を食べると布団へ入って明日に備える事にした。
















「春!ちょっと!…何故、モチ子の言葉を…」




「…アリナ、私は隠密に“(カゲ)”達に君や子供達を守る様に指示を出していたんだよ」


「!影達に?」


ーーーーー“(カゲ)”帝一族が所有する、隠密や武道などを極めた者が所属を許された部隊のことだ。


「あぁ、…影からの報告によるとモチ子は…イジメられている事が分かったんだ」



「?!私はモチ子から何も…」




「言えなかった…って訳じゃない、モチ子には竜也くんと綺羅くんが居たからイジメなんてあるない関係無かったんだろう…しかし、モチ子はこれから知らない…都会と言う場所に行くんだ…」



「そうね…」




「しかも都会の学校はかなりシビアな環境だ…モチ子がそんな場所に初めから適応出来るとは私は思わない」



「…でも、学校に行かないと言うのは…」



「なに、小学校までだよ。中学からは私も説得して行かせるさ…その時の説得は手伝ってもらうが…」


「私だってモチ子の母よ?それくらいして当然よ」



「ありがとう、アリナ…、ではまた明日ね」

春さんはそう言うとモチ子達のマンションを後にした。


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