閑話:二人に会いたい…
今回は謎の少年目線!
僕は…何でお母さん達と同じ髪色じゃないんだろう…
ーーーーー僕がそう思ったのはまだ、4歳の頃だ。
自分の赤い髪色とお母さんや亡くなった父親の写真を見て思った…
お母さんは、父親が亡くなってから…精神状態的に可笑しくなった…
僕は保育園や小学校に通っていない……お母さんが僕の前から消えてしまう様な感じがしたからだ…
多分。お母さんは…自殺を考えているから…
そんな、事があった4歳から…7歳になった頃からだった…
「あんたなんて!居なくなれば良いのに!」
…そうお母さんは言うと、僕の顔を殴ったり蹴ったりしてきた…
言わゆる家庭内での暴力が始まった…
…最初は、顔や体を素手で殴る程度だった暴力は、僕が9歳になった頃から…
…本やバックはまだ良かった…
竹刀、木刀…野球バット…食器や花瓶で何十回も1日置きに身体中を殴られ、痣が出来るのなんて日常だ…
…普通の子供だったら、今頃死んでいても可笑しくないと思う…
でも、僕は"普通"の子供じゃなかった…
それが、分かったのは…僕が7歳の頃…お母さんが僕を殴り、僕は壁に頭を打ち付け…意識が朦朧とした時に…それは"見えた"
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『陛下…とうとう…魔王になるのですね』
僕?は何故か立派な大人になっており、…黒髪で目付きは鋭いが…優しい顔の男性…陛下が僕?の言葉に…
『あぁ、私は立派な魔王になる…だから、リハエル…私の事を守れ』
『陛下の身心のままに…私は…貴方に一生、お仕え致します』
『頼むぞ…私の"友"よ』
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(…今のは?)
僕の意識が覚醒すると、僕は…何故か懐かしい感情が溢れて来た…
…それから、お母さんの暴力で意識が薄れた時に…"陛下"が出てくる…
…僕はこの現象を調べる為に、毎日1時間だけ図書室に通う様になった…
…そこで、僕はある事実を知った。
"申し子"前世の世界…"レクターバル"世界の記憶をもった子供が表れ、超人的な力を使う事が出来ると言う…都市伝説専門雑誌で知った…
(僕のあの光景は…前世の記憶が思い出したから?)
…あり得ない話だ…しかし、僕は何故か核心を付いたように胸が熱くなるのを感じていた…
…それから、2年たったある日…
今までの前世の記憶に陛下しか出てこなかったが…
…そこに、一人の少女が表れたのだ…。
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『リハエル卿、何だか元気がないみたいですが?』
僕?に話しかけて来たのは、銀色の長い髪の毛を伸ばした可愛らしい15歳程の少女だった…
『"姫様"、実は陛下のあの趣味が私にはどうしても理解できなくて…友として理解したいのだが…』
『お父様は変わった趣味がありますのね!』
…そう、少女は言うと…僕?に優しい笑顔で微笑んでくれた…
『…"姫様"、私は陛下を一番に考えなければならない身分です…ですが、私は…』
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僕は、はっ!っと意識を取り戻した瞬間…頬を伝う水…涙を流している事に気がついた
(何で…こんなに悲しいんだろう?)
僕は…何故こんなに悲しい感情が出てきたのか…分からなかった…
ーーーーーーーそれから、時は過ぎ…僕は10歳になった…。
相変わらず、出てくるのは…"陛下"と"姫様"だけだ…
そんな、ある日…僕は…あることを知ってしまったのだ…
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…少し薄暗くなった城の中庭…、噴水が綺麗に流れている。
…その噴水の淵に座っているのは…"姫様"だ…僕?は座っている"姫様"の横に座り…頭を優しく撫でる…
『"姫様"…私は騎士として……必ず貴女をお守り致します…明日の戦場は、我々にとって…最期になってしまうかもしれません…』
『…リハエル卿…私は、お父様や守護者四人、…勿論リハエル卿も…あの時助けてもらった恩があります。
…例え、戦場で私が死のうとも…私はとても幸せな人生だったと思うわ』
『"姫様"……私は姫様に死んではほしくありません』
『ふふ、リハエル卿は案外頑固ですもんね』
僕?と"姫様"はそれから数時間…話していた。
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「はぁ!…」
("姫様"……、…分かったよ…何で悲しくなるんだか…)
…僕はこの悲しくなる感情の意味を初めて理解した…
…それは、僕は…リハエルは…
…"姫様"に"片思い"をしていたんだ…
…この悲しい、感情は…姫様と騎士と言う身分の違う葛藤、陛下と友人としての申し訳なさ…
…そして、…多分だけど…
…"姫様"はその戦争で死んでしまったのかもしれない…
僕の…いや、リハエルが…僕の心でずっと泣いている…
…自分の無力さ…誰かに対する強い怒りと憎しみ…その誰かを殺してやりたいと思う感情…
(…"姫様"…僕…姫様に会いたい、"陛下"にも…)
僕は涙がボロボロと出てきて…その日の夜は眠れる事はなかった…
ーーーーー寒くなり始めた秋頃、…僕はいまだにお母さんから暴力を受けていた…
…最近、児童相談所などが家の前まで来るが…お母さんから追い返されて行った…
…そんなストレスが重なったせいだろう…ある事件が起きた…
…僕が普通に本を呼んでいると…お母さんが…包丁を片手に…僕に近づいて来た…
「?…お母さん?」
「あんたなんて…あんたなんて!死ねば良いのよ!!」
そうお母さんは僕に目掛けて…包丁を振りかざす!
僕はギリギリの所で避けると、包丁は畳に少し刺さるとお母さんが包丁をゆっくりと畳から抜く!
「お母さん!やめて!!」
「…あんたが、生まれて来てから…嫌な事ばっかり、…あんたは私の疫病神よ!!」
お母さんは、そう言うと包丁を振り回し…僕は必死に…逃げる!
「嫌だよ!お母さん!!」
「うるさい!うるさい!!うるさぁぁああいぃい!!」
僕はお母さんから逃げ惑い…とうとう…お風呂場に追い込まれてしまった…
「ふっはっははは!!やっと殺せる!!邪魔者、邪魔者!!!」
「い、やだぁ…」
お母さんが…怯える僕を見ると…笑顔で、包丁を振りかざす!
僕はもう駄目だと思うと…目を閉じた…
ーーーーーーーその時だった、…視界が暗転し…僕は広い場所にいた?
「あれ…僕は死んだの?」
『違うわ、リハエルくん』
僕の目の前に表れたのは…綺麗な金色に輝く髪をなびかせた…美しい女性だった…
「?!僕の前世を知ってるの!」
『えぇ、私は"転生神"以前、リハエルくんを地球へと転生させた神よ』
「ん?転生神??」
『そうです、…リハエルくん。私の手違いで最悪な女性の子として転生させて申し訳ありません…貴方はこれから大事な人達と生きてほしい…なので、貴方の記憶を全て解放させましょう』
「記憶を全部?…僕はお母さんに殺されちゃうんだよ?」
『大丈夫、リハエルくんは前世では最強の騎士でした…その記憶があれば、あの境地に勝てる筈よ』
「…うん!分かったよ!僕の記憶、全部戻して!」
『よく、決意しました…それでは、始めます』
そう"転生神"は言うと…杖を上から下へ動かすと…白い雲のような玉がゆっくりと僕の中へと入っていく
『さぁ、記憶よ…解放しなさい』
ーーーーーーーそう、転生神が言うと…僕の心臓が激しく動きだし…息が上がるのがわかる…すると、頭の中に無理やり映像が記憶されていく!
「あ、あぁぁあああぁああああぁぁ!!って!……お、もい…出した…」
『リハエルくん、久々に貴方の凛々しい姿を見ましたよ』
「転生神、私の記憶を甦らせてくれて感謝します」
『ふっふふ、ではリハエルくん…気を付けて』
「はい、また会いましょう」
『えぇ、必ず』
転生神はそう言うと…僕、…いや、私はお母さんが包丁を振りかざした所まで戻った。
「はっはは!!」
「!!、よっ!」
私はお母さんの振りかざした包丁を避けると、お母さんの包丁を蹴り飛ばし…自分がそれを持つ。
「!この!疫病神!!!!」
「…残念だが、今世の母親は私にとって必要ない!」
私は覆い被さって来た母親に、包丁を向け心臓目掛けてからだ全体で向かっていった。
グサッ!
「…、えっ…この、…私を…」
包丁は見事に、お母さんの心臓に刺さり…風呂場には赤い液体が広がる…
「私は生きなければならない…あの二人に合い、お守りするまで…」
私がそう言うと、お母さんは驚きの表情を浮かべるが…やがて…体は動かなくなった…。
その時、玄関が勢いよく開かれた音と…バタバタと何人かの人が入って来るのが分かった…そして、私がいる…風呂場の扉を…警察官の一人が開ける。
「!!、居ました!!子供発見!母親は絶命しています!」
「なんだと?!…子供が正当防衛でやったのか…」
「そのようです…」
「今すぐ、児童相談所に連絡してくれ!それと精神に異常がないか検査する!…君、名前は?」
「…私は…名前…わからない、お母さんは"あんた"としか…呼ばなかった」
「…そうか、…とりあえず、一緒に警察署に行こう…事情を話してくれるね」
「…はい、…」
私はそう言うと、警察官と一緒に警察署へと向かった…
(陛下…姫様…必ず、私は貴方達の元に行きます)
私は…まだ、沈まない太陽を見ながら…そう思うのであった…。




