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友達探し

作者: 桜餅

私はある日、友達が消えた。


学校・・・この世界で友達がいないというのは、社会にでて職がないと同じくらい辛い。

でも、私はそうは思わなかった。

去年から、わかっていた。

私には、友達がいないって。信頼できる人がいないって。

私は、今小学6年生。

こんな風に小学校を卒業して、中学校に入っても一人ぼっちでいいのだろうか。

今年になって、クラスが変わって、仲が良かった友達と離れた私は、実質友達0人になった。

仲が良かった友達とは、もう喋ることは全くない。

それ以前に・・・もう、その子には、違う友達がいる。

私みたいな人が話しかけていい場ではなくなった。

こうして私は6年生になってから、図書室に通うようになった。

以前から読書が好きだった私は、あっという間に、その図書室ライフに満足し、友達をつくろうなどというくだらない活動をやめにした。

そして、私が完全に友達0人になると、私は勉強に集中するようになる。

図書室があいてない休み時間は、自分の席で勉強。

そのせいか、前までも成績がまぁまぁ良かった私だが、さらに良くなり、学年1位の座を手にした。

こうして私は、100%の頭脳を手に入れた。

ある日、私が図書室に行くと、私以外誰もいなく、委員の人達は、さぼっているのか、3人いるはずが、1人もいなかった。

逆に好都合。

だれもいないほうが楽になる。

もうそれが当たり前。

でも時々。

寂しくなる。誰もいない。友達がいない。

ううん、時々じゃない。

毎日・・・毎日、毎日、毎日。寂しくなる。

私は何なんだろうって。私の存在って私にとっては、意味があり、価値のあるものであっても、他の人にとってはどうだろうか?

私には、友達がいないんだから、私の存在が消えても誰も悲しまない。

家族だって。両親は、ずっと昔に離婚して、今は親戚をたらい回し。

兄が1人いるけど、25歳の社会人で、私のことなんかにいちいちかまってないし、最近は酒浸り。

私には誰もいない。

そう思いながら手にとった本は、今の私にとっては有り得ない題名の本だった。

「絆」

私は発作的にその本は床に放り捨てた。

題名が気に入らなくて・・・。自分を否定されているような気がして・・・。

次に手にとった本は、

「誰も知らない世界」

こんな世界あったらいいのに。

1ページめくったら、なぜか私は広い屋敷の中にいた。

ここ・・・どこ・・・?

私がぼうぜんと立ち尽くしていると、小さな女の子がやってきた。

その女の子は、きれいな黒髪で頭のてっぺんあたりで赤色のリボンでその黒髪を結んでいた。

「貴方はどちらさまですか?」

私より小さな女の子にそんなことを聞かれた。

「えーっと・・・。」

私は答えに迷った。ここがどこだかわからない以上、下手に名を名乗るわけにはいかない。

「私は、この屋敷の主。飛鳥と申します。」

小さな女の子はそう言った。私は気がゆるんだのか・・・。

「私は、遠い国からきた飛鳥と申します。」

小さな女の子とたまたま名前が同じだった私は、つい名を名乗ってしまった。

「そうでござ・・・」

小さな女の子が返事をしようとしていると、他に3人、小さな女の子がやってきて、

「飛鳥、大変ですわよ。泉で・・・和が・・・。」

「?」

小さな女の子が飛鳥ちゃんを連れて泉にむかったので私もついていってみた。

「!?」

その場にいた全員が息を呑んだ。その和という子が泉で血まみれで浮いている。

違う、もう泉じゃない。血の海・・・。

急に吐き気がした私はその場に倒れこんでしまった。

「飛鳥どの・・・大丈夫でございますか?」

ふと目をあけると飛鳥ちゃんがいた。

その隣にさっきの3人の姿はない。

そのかわり、飛鳥ちゃんのお姉さんらしき人が2人いた。誰?

「私は、飛鳥様の侍女、鳴姫でございます。」

「同じく。」

しばらくして私は外の空気を吸いに屋敷の庭園に出た。

空気が美味しい。そういえば、みんな古風な喋り方しているけれど、ここはどこ?

「平安時代でございますこと。」

!?急に飛鳥ちゃんが隣で答えたのでびっくりした。平安って・・・。

「貴方、遠い国からいらしたと申しておりました。でも違う・・・貴方は後世の私。」

「なんで・・・。」

「お願い、私にならないで、貴方が私になれば貴方は幸せになれない。さっきの和、見たでしょう?あれは私の友人だった。でも死んだ。私に絶望して。」

「絶望なんて・・・。」

「したんです。あの3人も血のつながりがあるというだけで、私のこと、本当は絶望してるんです。」

「いいじゃない。私は貴方で。貴方も私で。自分同士なら絶望しないでしょう?」

私は考えるより先に言葉が出ていた。

「飛鳥ちゃん、私も貴方も、もしかしたら絶望されているかもしれない。でも誰もがそうじゃな・・・」

私が言いかけたその時、急にあたりが真っ白になって私は消えそうになっている。

多分、元の世界にもどれるんだ。

「ありがとう。」

消えそうな私の手をそっとつかんでくれたのは、暖かいけど冷たい。飛鳥ちゃんの手だった。


元の世界にもどった私は、飛鳥ちゃんの言った言葉を理解しなくてはいけなかった。

私は貴方になりたい。自分を嫌う人がいることを悲しく思える、そんな貴方になりたい。

飛鳥ちゃん・・・貴方は嫌われてなんかいなかった、ただちょっと近づきにくいだけ。

私もそうだって、思いたいから。

私は友達を探す。

こんにちは、桜餅です。

読んでくださった方ありがとうございます。

これは、少し内容を変えて12歳の文学賞に応募する予定です。

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