封印をとかれた最強のスキル
真ん中にいたおかっぱ頭の巨漢が進み出て・・優しい声でいった。
「さっきはごめん。あの槍はここでやっていけるかどうかの試験なんだ。」
別の一人も言った。
「悪かったね。不合格の奴らには近づきたくないんだ。入ってくる奴はたいてい追い返せない偉いさんだったりするからね。」
「合格ですか?」
「もちろんさ。あ、早く着替えてご飯食べといで、ここのはうまいぞ~。」
「俺たちが全力で食っても無くならんからそんなにあわてなくてもいいぞ。」
「ありがとうございます。」「ありがとうございました。」
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ご飯は本当においしかったんです。秋刀魚なんて絶滅したと思っていました。
お味噌ってこんな香りがするんだってはじめて知りました。
ご飯・・・”ひとめぼれ”っていうんですか。でんぷんを押し固めてあるんじゃないんですね。
雪に、「何で泣いてるの?」って聞いたら、「あなたもじゃない。」っていわれました。
食べ終わってから、村田さんが迎えに来るまで、二人とも魂がご先祖様のところに飛んでいってました。
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午後からは実技です。ヒュプノスシステムを使った幻影とのシュミレーションを体験しました。
ここでは実践練習がありません。なぜってグラディエーターになった瞬間、前座としての試合が組まれるんですから。
そのあと各種武器の扱い方を教えてもらって・・持ち上げられないものの方が多かったのですが・・
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「この書類にサインしてください。」・・村田さんです。
個室で村田さんに突きつけられた書類には、『契約書』と書いてありました。
「何の契約書ですか?」・・舞です。
「前座で試合に出ていただきます。防具は見た目重視、武器はフリーで制約はありません。どちらかが戦闘不能になるまで戦っていただきます。薬は打ちますから痛くないですよ。」
「そんなの出れません。」
「ご不安があるのでしたら、強化手術も行います。どちらかと言えばムキムキの化け物になるより、今のままで殺し合いのほうが人気が出そうですが、実力がなければ客はきわものなんかすぐに飽きますのでやはり強化は必要です。何、親が見ても分からなくなりますから、恥ずかしくないでしょ?」
「恥ずかしいとか、そういう問題じゃありません。改造されたくないですし、試合にも出ません。」
「あなたが食べた秋刀魚、いったいいくらするとお思いですか?投資したお金は回収させていただきます」
「無理です。」
「ダメです。サインしなさい。」
今まで黙っていた雪がバン!と机をたたいて。
『ワレなめんなよ、今までのは全部記録してあるんや、文句あるなら出るとこ出たろや無いか。』
訳
「あなた、わたしをあなどらないでください。今までのことは全て記録してありますので、裁判で決着つけましょう。」
・・・・
にらみ合う二人。
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「「ぷっ」」・・同時に噴出す二人。
「【悪徳商人の叫び】でしたっけ、私も見てました。」・・声も出せずにおなかを押さえて笑い転げる村田さん。
「見てたんですか。」
「冗談はここまでにして、これをどうぞ。」・・2枚のカードを差し出す村田さん。
「お二人は名誉グラディエーターとして全員一致で認められました。以後この建物の利用は全て無料でご自由にどうぞ。できれば夕食も食べていってください。」
「「ありがとうございます。」」
あと一回でコロシアム編はオチをつけて終わりです。
次回 午前10時 ”ヘルプミーは内線1番”