強敵あらわる。とっても怖い人なんです。
Cβ1のある日・・
私は思い切って舞に言いました
「舞、わたしアニーさんが好き。」
自分でも怖い顔をしていたと思います。
舞はじっと私を見て、それからにっこり笑ってくれました。
「ごめんね、アニーさんってチュンと雰囲気が似すぎてるから・・ちょっと距離近すぎたかな」
舞は私の言いたいことが全部分かってくれたみたいです。さすが私の親友。もしかしてわが妹?
Cβ1のあいだ、私の前にはいつもアニーさんの背中がありました。
私たち魔術士は攻撃力が高いのですが、その代わり、防御力が全くありません。モンスターの攻撃を受けるとすぐHPが0になります。
モンスターにはブレイブが壁となって立ちふさがってくれますが、なれない私や舞はしょっちゅう、目標以外のモンスターの探知に引っかかったり、移動して来たモンスターに見つかったり、またボスのヘイト(憎しみ値)を上げてターゲットされてしまったり。そんなときアニーさんは、そのカオスなプレイがミスが原因なら、眼でコラッ!としかりつけてくれるし、不可抗力なら笑顔を見せて、モンスターとの間に割って入ってくれるんです。私がアニーさんを意識するのにそんなに時間がかかりませんでしたが、こまったことに、私の横で舞いもアニーさんの後姿を見ていたんです。
この際、私にとって、アニーさんか女性キャラを使っているとかは全く問題と名あるものではありませんでした。大嫌いなゴキブリキャラでもキスができたと思います。
舞とコロシアムに行く日、チュンのデータを見せてもらったときは、本当に心臓が止まるかと思いました。シン・フレア・・身長体重・・これ間違いなく彼です。
それと、こんな彼に似た名前を他の下っ端グラディエーターが付けられるわけがない。・・・
・・・彼には兄弟なんかいなかったはず。
・・・・なら、アニーさんとポテトさんってシンのなに???????????????????????
ぼ~っと歩いていて、コロシアム入り口への道を間違えてしまいました。
困っていると・・
「あれはグラディエーター入門者の見学案内ですよ。」
後ろから声をかけてきたのは、わたしたちと同じ年ぐらいの女の子。
うそ!絶対ここには誰もいなかった。砂利が敷き詰めてあるのに音がしなかった!・・
・・この人腕にヒュプノスの末端を3つも着けてる。
・・・・それで全部分かっちゃいました。
「見学できないことは無いけど・・かなり怖いよ?」
アニーさんと同じ笑顔でニカッと笑う。ぜったいアニーさんがなにかたくらんでいるときの笑顔です。
「マコッさん・・」
・・このひとやっぱりマコトさんなんだ・・
じっと観察する。
・・この人、男だ。
男と女は動作が細かいところで違います。・・
結論は最初からでています。
アニーさんは私のもの。
舞はなにも気が付いていません。
教えてあげなくてもこれはフェアだとおもいます。たぶん。
卑怯なことをすれば嫌われます。でもそれとこれとは違うんです。
舞はその天然で人をひきつける、とっても恐ろしい強敵です。
でも、私は負けない。
お化けよりも人が怖いです。
スプラッタでもホラーでもありません。
どろどろにもなりません。舞いも雪もいい子ですから。
次回 アニーのいたずら