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プロローグ
2009年2月13日。某県色島市、今日もこの町に朝日が昇った。
この町は決して大きくはないが、田舎だと言われる程小さくはない。
ただ、特に賑やかというわけでもないし、逆に寂れている、というわけではない。
そんな町にある住宅地にある二階建ての小さな家で、今日も新しい朝を迎える者がいた。
「んっ……ふぁ…」
その少年は一つ欠伸をしてベッドから起きた。
中性的な顔立ちで、男としてはほんの少し長い黒髪をした少年だった。
そんな少年が起きて最初に向かったのは、家の台所だった。
理由は簡単。今日の朝食と家族の弁当を作らなければならないからだ。
彼の家の料理は当番制で、毎日ローテーションで当番が変わるのだ。
もっとも、彼の家族は彼を入れて3人で、ここまで早くから起きる程の量でもないのだが。
(ちょっと頭熱いなぁ…でもほんの少しだし…)
少年は少し頭を抱えて再び作業に取り掛かった。
この少年、春崎 優の身体に異変が出るのは、もう間もなくの話である。