生姜焼き
「お腹、空いた」
私はキッチンに向かい、冷蔵庫の前でにんまり笑う。
「いいお肉があるんだよね」
近所の肉屋で買ってきた肉1キロが、冷蔵庫に入っていた。
トレイに入ったそれを取り出すと、早速、エプロンを着て、料理を始めようとする。
ピンボーン。
「あれ。誰か来た」
肉をテーブルの上に置くと、私は玄関のドアホンの前に行く。
「はい」
「やっほー!! 来たよ!!」
「ああ、いらっしゃい」
思わず破顔すると、玄関ドアを開ける。
親友のSとGの2人組だった。
手には、袋を持っている。
「ノンアル、買ってきた。あとスイカも」
「スイカ? いいね」
「ワインも、ほら。用意したよ」
2人が気を遣ってくれたので、私は嬉しくなる。
「今から生姜焼きを作ろうと思って。2人とも食べる?」
「食べる!! 食べる!!」
「僕もいただく」
2人は外が暑かったのか、中に入るとふうと力を抜く。
秋が近くなってきているが、まだまだ30℃超えの日が続いていた。
「何か手伝おうか?」
「いや、いいよ。何か…えっと、ああこれがいい」
チーズの盛り合わせを出すと、2人に差し出す。
「先に2人で飲んでいて。すく作るから」
「了解」
2人はソファに座ると、ノンアルのプルタブを開ける。
私は微笑むと、生姜焼き作りに入る。
人から教わった作り方で、まず生姜の皮を剥いて、する。手に気をつけながら、ガシガシと削っていく。
「こんなものかな」
次はテーブルに置いた肉を引き寄せ、タレに浸け込む。
タレは醤油と今すった生姜、酒などで、水が出ないように、10分くらい置いておく。
少し時間ができたので、2人のところに行くと、
「はい、あーん」
と言われる。されるままにすると、チーズが口の中に入れられた。
「うわ、美味しい」
「自分で言う? 普通?」
「美味しいに決まっているよ。Tが用意したものだもの」
3人て笑い合うと、ノンアルを1本、開ける。
ぐいぐいと飲むと、プハーと息を吐き出す。
「うわー!! 美味しい!!」
「冷えてるのを買ってきたからね。ねえ、G?」
「そうそう。ワインもどうぞ」
「ありがとう。あ、そろそろだ」
肉に味が染み込んだので、キッチンに戻り、今度は片栗粉をまぶしていく。
ー皆でわいわいするもの、楽しいな。
思わず微笑みながら、肉を焼いていく。
じゅっという良い音と、香ばしい匂い。
お腹が空いているので、喉が鳴る。
「ちょっと、S!! 千切りキャベツを作れる?」
「いいよ。エプロンは?」
「そこにある。キャベツは冷蔵庫の中だから」
そう言うと、火を止め、シンクの上に置く。
「うわ、美味しそう!!」
「早く千切りキャベツ」
「もう人使いが荒いんだから」
文句を言いつつ、Sは手際よくキャベツを切っていく。
私は冷蔵庫を開けると、ミニトマトを用意する。
「こんなもの?」
「そう、そんなものかな。ありがとう」
礼を言うと、皿に盛り付けていく。
見た目は綺麗に。そうじゃないと、まずそうに見えるのは困るから、気をつけていく。
「完成!! できたよ」
「ご飯は? あるの?」
Gに聞かれ、私は慌てて炊飯器を見る。
「あ、大丈夫。3人分くらいあるかな」
「俺、いっぱい食うよ」
「分かっているって。冷凍したご飯があるから、遠慮せずにどうぞ」
そう言うと、冷めないうちにと思い、テーブルに生姜焼きを運んでいく。
「うわ!! 良い香りがする!!」
「えへへ。お肉屋さんの良い肉だから。食べてみて」
勧めると、SとGが箸を持って肉にかぶりつく。
柔らかくて甘いのが特徴なので、2人ともびっくりした顔をする。
「美味しいー!! ご飯!! ご飯!!」
「はいはい。肉も、もっと焼くね」
私はキッチンに戻ると、茶碗にご飯を盛り、差し出す。2人はお米を口に入れて、幸せな表情となる。
ー作って良かった。人の嬉しそうな顔って、自分も幸せになれるんだよね。
最高のシチュエーションに、私は肉を構い出す。
このまま時間が止まればいいのに、と思ってしまう。
「よし、どんどん焼くぞー!!」
私はそう言うと、フライパンを持ったのだった。




