離れないでと
招待状が来るとは思って無かった。
ノンケだって知って付き合ってたけどどこかでズレが来た。だから別に嫌いになって別れた訳でなく。
結婚式会場のホテルの入口で終わったよ…と連絡すると近くに居るからすぐ迎えに行くと返事が来た。たったそんな事で妙に泣きたくなるのは好きだったのに隣には美人な女性。これが普通なんて自分に言い聞かせてきたけどなぁ…なんか悔しい
不意に顔に冷たいのが当たる。見上げると雨が降ってきた。他の参加者も雨に近くに居たタクシーを呼んでる。
と、目の前に黒い軽が止まった。雨も本降りになったお陰で早々に助手席に乗り込む。
「おつかれ」
「本当、マジつかれた」
多少濡れたスーツに今の恋人、晴が後部座席からタオルを掴み渡してくれる。
「ありがと」
ある程度拭くと晴は車を走らせた。
「どうだった?」
「まあ、思ったより美人の人だった」
「元彼って確か普通寄りの顔とか言ってなかった?」
「そう、多分性格だと思う」
性格良かったんだ…と呟くように晴は言った。
「晴が性格悪いとかそんな意味じゃ」
すると小さく笑う。
「わかってる、可愛いなぁ、朋哉は」
信号が雨で滲んでる。そんなフロントガラスに叩きつけ流れる雨はきっと自分の今と同じ。
招待状が来て美人の奥さん見て情緒不安定。
「……晴」
「うん?」
「晴は離れないでよ」
「え?俺はそのつもりだけど」
本当なら嬉しい………でも、悲しい
End
ご無沙汰ぶりでした。
読んで頂き本当にありがとうございました。




