表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

陽仁と智嬉

淡い光が四人を包み

次の瞬間、冷たい氷の気配は一気に消えた

司令官室

テレポートの余韻が消えると同時に

モニターの前に立つ司令官―シルヴァ・トラーズが、こちらを振り返った

「……戻ったか」

滝が一歩前に出る

「司令官、報告します」

「封鎖領域・氷エリアにて、根口智嬉を確認、救出しました」

智嬉は軽く手を挙げる

「生存確認、異常なし……こいつらのおかげです まあ、多少は冷えてしまいました」

「ちょっとのレベルじゃなかったけどな」

「根口智嬉」

智嬉は姿勢を正す

「はい、司令官」

「凍結状態からの自己復帰……よく持ちこたえた」

智嬉は一瞬驚いた顔をして

そっと頭を下げた

「ありがとうございます……正直、途中で限界かと思いましたが」

司令官は視線を滝へ移す

「蒼山滝。 能力者としての判断、行動力、そして“救出の優先” よくやったぞ お前はやはり、リーダーの素質があるな」

と司令官に言われると、若干、滝は顔を赤くした

俺は肘でつつき

「やったな、褒められてんじゃん」

と軽口を叩く

滝は慌てて咳払いして顔を逸らす

「べ、別に……当然のことをしただけだ」

純がニヤッと横から突っ込む

「いやいや、赤ぇぞ滝。

 司令官に褒められるとすぐこれだな」

司令官は声だけは少し柔らかかった

「照れる暇があるなら、次の指示を聞く準備をしておけ滝、お前の判断力は貴重だ」

滝はまた顔が赤くなり、肩をすくめながらも真剣に返す

「……了解しました、司令官」

「ふむ、ところで、智嬉、お前はその状態では体に負担がかかるな、凍ったままでは… 大浴場で体を暖めなさい 陽仁も、一緒にな」

俺は司令官に呼ばれ、咄嗟に返事をした

「は、はい!司令官! 行こ、智嬉」

「ああ 純も早めに来なよ」

と智嬉は踵を返して、俺たちは大浴場へ向かった


大浴場は2階の奥にある

とても広々していて、申し分ない

智嬉は湯気を吸い込みながら伸びをした

「……いいな。

 氷の世界にいた後だと、天国だわ」

俺は笑いながらタオルを肩に掛ける

「そりゃそうだろ。 さっきまで冷蔵庫どころか冷凍庫だったろ、お前」

「冷凍庫は言いすぎだろ」

智嬉は軽く笑い、

しかし腕の氷が溶ける音が微かにした

「やっぱり、冷えてたな ほんと危なかった」

「お前、普段から通信機持ってねぇのか? 滝たちとモニターで探したんだぞ?」

智嬉は

あーー……

と気まずそうに天井を見上げた

「持ってるって持ってるんだけどさ……」

「けど?」

「……たまたま、あの日だけ、

 ロッカーに置きっぱなしだった」

「はァ!?」

俺の声が大浴場に反響した

純がいたら絶対ツッコんでただろうなと思いながら、智嬉の胸倉を軽く掴んで揺らした

「よりによって封鎖領域の日に忘れんじゃねぇよ!!滝がどんだけ心配したと思ってんだ!!」

「さすが俺の幼なじみだなー!いやいや… 俺は滝を守る前線を切って戦う戦闘員だってのに、面目ない」

俺はふっと力を抜き、胸倉から手を離す

「……面目ねぇなら次から忘れんな

 滝の電話に出れなかった時の顔、見せてやりたかったぜ」

智嬉は目を丸くした

「そんなにヤバかったのか?」

「お前の死体を探しに行く勢いだった」

「お、おい……縁起でもねぇな」

「現実になりかけただろうが!! 俺たち、半分は智嬉が死んでるのかと思ってたんだからな!」

智嬉は目を見開いたまま固まる

「俺も純も、圭介も……“もう遅かった”って最悪のパターンを覚悟したんだ」

智嬉はようやく視線を落とす

「……悪い。そんな……そんな顔させるつもりじゃなかった」

智嬉の落ち込む声だけが静かに響く。

俺はため息をつきながら、軽く背中を叩いた

「だったら二度と忘れんな。

 通信機は“命綱”だ。

 ……お前が死んだら、滝が泣く」

「お前も…」

俺は智嬉に呼ばれ、肩でピクッと返事する

「リーダーに案外向いてるかもな?」

「はぁ!? 俺は元暗殺者だぞ!!」

「そうは見えねえな 俺には 暗殺者に向いてねえ それに…」

俺は顔が赤くなってしまう

「友達思いの良い奴だ」

「と、友達って!」

俺は浴槽から勢いよく立ち上がる

思わず浴槽から

ザバァッ!!!

と勢いよく立ち上がってしまう

湯しぶきが上がり、湯気が一瞬だけ形を崩すほどの勢いだった

智嬉は目を丸くして、

「うおっ!? そんな反応する!?

 悪い意味じゃねえよ!?」

「わ、分かってるけど……!!俺は、ほら……その……暗殺者だったから……!」

「だから何だよ?」

智嬉は肩をすくめる

「仲間のために怒鳴って、

 仲間のために動いて、

 仲間のために泣きそうになる奴が——

 暗殺者のままでいられるわけねぇだろ」

「うっ…!!」

俺は、みるみる顔が赤くなった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ