↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/26

智嬉の助け

転送先…まるで、別世界の氷の世界

「……っさむ!!」

純が真っ先に声を上げる

俺は息を吐き、白い霧が視界に広がるのを見た

「ここが……氷結区画……」

視界一面が青白く染まり、地形はすべて氷

建物も、地面も、木々さえも――

智嬉の能力によって凍りついている

これは異常だ、と滝は睨む

「この冷たさ……やっぱり智嬉の力だ。でも……」

氷の表面には、蜘蛛の巣のような細かい模様が脈打つように光っていた

ただの氷ではない

まるで“感情”そのものが凍りついて広がっているようだった

俺は歩きながら、足元の氷をそっと蹴る

「こんな規模の氷結……智嬉一人じゃ無理だろ。どんだけ暴走したんだよ」

純が腕をさすりながら話す

「いや、あいつの能力の本気、俺は見たことねぇけどさ……こんだけ世界ごと凍らせるなんざ、普通じゃねぇ」

「確かにな、普通はこうはならない 誰かが、智嬉の能力を最大限に働かせたのかも」

と滝は純に答える

純は目を見開いた

「誰かって……敵がってことか?」

「智嬉の氷は“防御”の力だ。でも、ここまでの規模になると……本人の意思だけじゃなく、“外からの干渉”が必要だ」

滝はそう話した

俺は周囲を警戒しながら言った

「じゃあ、智嬉は“無理やり能力を引き出された”のか?」

滝は首を振る

「……これは“助けを求めてる氷”じゃない。

 “閉じこもるための氷”だ。

 本来の智嬉なら、こんな展開にはならない」

純は腕を組み、ハチマキに付いた氷塵を払う

「誰かが強制的に能力を引き出した……ってことは、智嬉はそいつに狙われてる?」

滝は顔を上げた

「いや……“智嬉を守るために暴走した”可能性もある」

「守る?」

純は首を傾げる

「智嬉は普段、自分の気持ちをほとんど外に出さない。 まあおちゃらけてはいるけどさ 戦闘じゃ、冷徹だろ?」

と滝は冷静に話す

純は「あー……」と腕を組んだ

「確かに。あいつ、戦闘になると妙に冷静で、容赦ねぇしな」

俺は思い返す

智嬉は普段、ふざける時は明るいのに

戦場だと、まるで別人のように冷徹になる

滝は氷に触れながら言った

「その差が大きい分、心が揺らぐと……抑えてたものが全部、一気に溢れるんだ」

純が目を丸くする

「じゃあ……この氷って……」

滝は頷いた

「智嬉の“本音の暴走”だよ。

 誰にも弱いところを見せないせいで、

 守る力が逆に“自分を閉じ込める檻”として働いたんだ」


<挿絵>

挿絵(By みてみん)

「おい、そんなこと言ってないで、なんか聞こえないか!?」

と俺は滝たちに訴える

雪のような白い霧が、ひゅう、と耳元をかすめた

それに混じって――確かに“何か”が聞こえた

滝と純も動きを止める

「……今の……」

純はすぐさま周囲を見回し

「おいおい、誰かいるぞこれ。氷が鳴る音じゃねぇ」

「俺が超音波で目覚めさせてみせる!」

と俺はみづきさんから借りたアイテム、能力音波計を出した

俺は額に汗をかきながら、能力音波計のスイッチを入れる

小さな装置が淡く光り、空気がわずかに震えた

氷の世界がざわつき始める

「この音波計、能力者の“特定の周波数”だけを揺らせるんだ」

俺早口で説明を続けた

「智嬉の氷の波形は、さっきみづきが教えてくれた なら、その周波数を狙えば――」

滝と純は、後ろで分かりやすく耳をうるさそうに塞ぐ

「うるさくねぇ!? なんかもう耳がキーンってしてきたぞ!」

純が文句を叫び、肩がブルブル震えている

滝も耳を押さえ

「陽仁……説明の“音量”か“周波数”のどっちか間違ってねぇか?」

「説明は物理じゃなくて音で攻撃してるんじゃねぇよ!?」

俺はツッコミながら、音波計の出力を微調整するが…

「うーん、おっかしいな、みづきさん合ってんのか??」


すると、氷の分厚い壁からギィィ…と音がした…――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。