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仲間の再会

滝が肩を竦めたまま微笑むと、司令官の背後の通信機が淡く点滅した

「カルテー二より通信。テレポート準備完了!」

「早いな」

純が鼻で笑う

「あいつ、こういう時だけ真面目だ」

司令官は軽く頷く

「今の封鎖領域は安定しているが、長くはもたん。次に開くとき、誰が先に行く?」

滝は一歩前に出る

「俺が行く。……仲間たちを迎えに」

純は目を細めてから、ニッと笑う。

「じゃあ俺は後ろからカバーだ。お前が迷子にならねぇようにな」


<挿絵>

挿絵(By みてみん)

「迷子って…!あの時は仕方なかったんだ!」

滝は純に振り向く

「はは、分かってるよ、あれは誰のせいでもねぇ 誰かのせいにするなら…敵のせい、かもな」

純は遠くを睨む

「帰ろう、本拠地の仲間に知らせなきゃ!」


滝と純はテレポートで本拠地へ帰ると、既に俺…陽仁、滝の弟、圭介が待っていた

「陽仁!」

「おお、滝!やっぱり無事だったのか!」

「俺たち、滝が次元に挟まれてオーラが弾け飛んだビジョンを知って…てっきり死んだのかと思ってた」

圭介は滝を優しく抱きしめた

「純も次元に挟まれたのか?」

俺は純を見上げて聞く

「まあな、俺は敵に操られて、滝を襲うところだった」

陽仁は目を見開いた

「操られて……? それじゃ、あの幻覚ってやつか?」

「ああ。あれは、俺たち自身の“記憶”を利用してくる。気づかなきゃ、永遠にあそこから抜け出せなかった」

滝が真剣な表情で答える

司令官が背後から俺たちを見下ろす

「封鎖領域の中で見た幻覚は、ただの幻想ではない。あれは“心の残響” お前たちの過去そのものだ」

「新しい敵が、俺たちを封じ込めたっていうのか?」

俺は司令官に問い出す

「詳しい情報は、今新野みづきが調べている …滝、純、 よく帰ってきたな」

「はい!!」

「純、どこへ行く?」

純がそのまま玄関に出ようとするのを、司令官は止めた

「……外の様子を見てきます まだ、仲間がいるか」

「一人では危険だ」

純は振り返る

「わかってます けど……放っておけないんですよ」

「……外の状況は、カルテー二がすでに確認している。お前が出ても、今は情報が混乱するだけだ 今はなにもかもが不明なままだ」

純は舌打ちをし、苛立つ

「……チッ、待てってか」

滝がその横に立ち、軽く肩を叩いた

「純、俺も行きたい気持ちは同じだ。でも司令官の言う通りだ」

「戦闘員の智嬉や他の連中だって、今どうしているか」

純が智嬉の名前を出すと、滝は頭を抱えた

「滝?」

「そうだ…次元に挟まれた時、俺は…智嬉に電話したんだ、そしたら、途切れて…」

純は滝の両腕を掴む

「しっかりしろ! 落ち着いて話せ!」

「俺…智嬉がどうしているか…」

滝の声が震える

純は滝の肩を強く掴み、目を見据えた

「滝、あいつが簡単にやられるかよ 親友なんだろ!?」

「…でも、あの声……まるで助けを求めてるみたいだった」

司令官がデスクから立ち上がった

「その通話記録、残っているか?」

「え……?」

「お前のスマホの音声を解析すれば、智嬉の座標が特定できるかもしれん」

滝はばっとポケットからスマホを出し、智嬉の着信履歴があった

「滝、もう一度、ここでかけてみろ!」

俺は滝に冷静に話す

「ああ……頼む、繋がってくれ」

滝は震える指で発信ボタンを押した

やがて、スピーカーからノイズ混じりの声が流れた

「……き……こえ……滝……?」

「智嬉!? おい、聞こえるか!」

滝が思わず声を上げる

だが、その声は途切れ途切れで届かない

「……こ……い……ない……封……領……」

俺はよく耳をすまし、裏の情報支部へ向かった

俺は昔、滝を殺す暗殺者だった

暗殺には、情報がつきものである

標的の動線を読む 地形を把握し 逃げ道を潰す

その習慣が 今も俺を動かす

「それが、仲間の助けになるなんてな」

俺は一人苦笑しながら、情報支部へ向かった

情報支部のドアを開けると 新野みづきがモニターに目を向けていた


「来たわね、陽仁くん」

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