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滝を揺さぶる敵

「……瞳がターゲットだ」

「は……?」

俺の手の中の資料が、わずかに震えた

「嘘だろ……」

純が奥歯を噛み締める

「なぁ、瞳って……今は実家で仕事なんだろ?」

その言葉に、滝の視線がゆっくり揺れた

「……う、うん。確かに……そう、だったはず、だけど……」

震える声

目はモニターに映る“倒れた瞳”から離れない

「嘘だろ!?なあ!瞳!!」

そばでじっとしていた智嬉が口を開く

「なあ、これって、もしかして…これも俺たちを試してんじゃないのか?」

「そうか!瞳の映像も、偽物ってこと!?」

俺は智嬉に思いつく

「ああ、滝を惑わすならなんだってやる敵だぜ? この映像も、滝への心理作戦かもしれない」

滝の肩がびくりと揺れる

「じゃあ……これは……」

俺はすぐさま端末に近づき、映像の解析データを呼び出した

「待て。感情で判断するな。まずは“事実”を拾う」

ホログラムが拡大される

映像のタイムスタンプ、熱源反応、空間歪曲値

「……おかしいな」

「何がだ?」

純が覗き込む

「瞳みたいな人影だけど、なんの反応もない」

「ここ。拡大」

俺が指先で人影の部分をなぞると、像がさらに拡大される。格納庫の奥、薄暗い通路。そこに立っている“それ”は、輪郭だけがやけに鮮明で、中心が曖昧だ。まるで、夜の水面に映った目

俺はデータパネルを叩く。赤外線、紫外線、磁場センサー、重力波補助ログ。全部、沈黙。

「普通は、何かしら引っかかる。体温でも、足音でも、空間の揺らぎでも。こいつは――」

「幽霊って言いたいのか?」

純がさらっと言う。顔は真面目だが、口調はわずかに茶化している

「お前…っ、言っていいことと悪いことが!」

俺は思わず身を乗り出す

「ほら出た。感情で判断してる」

純は肩をすくめる。俺の顔を覗き込んでくる。距離、近い。目が合う。あの、さっきの映像の“瞳”より、よほど強い視線だ

「俺は冷静だ」

「声、上ずってるけど」

「気のせいだ」

即答したが、喉が乾いているのは事実だ

純はホログラムに向き直ると、両手を腰に当てた

「じゃあさ。幽霊じゃないとして。何?」

「それをみんなで考えてるんだろ!?」

純がすぐ振り返る

「存在してないって、おい。映ってんじゃん、こうして」

「映ってる“ように見えるだけ”だ」

俺は指先で数値ログをスクロールする

熱源反応ゼロ。

磁場の乱れゼロ。

空間歪曲値ゼロ。

「おかしい。人間でも能力者でも、生き物でもない。影でもない。“影なら”空間歪曲値が必ず出る」

智嬉が低くつぶやく

「じゃあ……投影? ホログラム?」

「いーや、それも違うな」

純が首を横に振る

「ホログラムは光の粒子が残る。拡大しても輪郭がこんな滑らかになるわけがねぇ。てか、あれ――」

滝の声が細く震える

「……これ、本当に……瞳じゃ、ないの……?」

智嬉がさらに話す

「滝、お前が動揺すれば、チームが揺らぐ。敵が狙うなら、そこだろ」

滝は唇を噛みしめたまま、モニターをにらみつける

純はだんだんイライラし始めた

「んなクソー!!! おい!コイツをとっとととっちめちまおうぜ!?」

智嬉が静かに、しかし鋭い声で言った

「純、落ち着け。

怒鳴ってどうすんだ。滝が余計に追い詰められるだけだろ」

「はぁ!? 落ち着いてられるかよ!

瞳がやられてんだぞ!?滝もこんな顔してんのに……!!」

智嬉は渋い顔をして、

「俺たちだって同じ気持ちだ!! けど、偽物か倒していい敵か、分かるまでは…」

純は反射的に反論しかける

「だからって――!」

「だからって突っ走ってどうすんだよ!?

お前が暴れたら、滝がもっと混乱する!

それで敵に付け込まれたら……瞳を救うどころか、全員まとめて終わりだぞ!」

司令官はそのやり取りを聞いてククッと笑う

「純…お前、ほとほと情報支部に向いていない人材だな?」

その一言に、純の顔がみるみる真っ赤になる

「は!? なんでだよ!!」

司令官はわざとらしくため息をつき、指でこめかみを押さえた

「まず冷静じゃない。根拠より感情で動く

状況分析より殴る手段が先に出る」

「殴るって……いやまあ……出るけどよ!?」

「さっきから“突っ込むぞ!”しか言ってないだろうそんな情報支部員がどこにいる まあ、ここで突っ立っていても仕方がない 智嬉!」

司令官は智嬉を呼んだ

「はっ!」

「お前…瞳の様子を一足先に見に行ってはくれないか? 危険なら、すぐに通信機で知らせてくれ 気をつけろよ」

智嬉は敬礼して、偽である可能性の高い瞳の場所へ向かった

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