同化
【黒猫】は『別々の行動』と言葉にしていた。俺が見たゴブリンを奇怪な動きをしていたのは……
「そうよ。本体はその先に転がってるわ。分断する事で、ゴブリン側は動きを止めたから」
【黒猫】は倒れたゴブリンを無視して、先に進み、あるところで足を止めた。【ライト】の明かりで、別の異形の死体が転がっているのが分かる。
虫型の異形だ。それも低レベルの異界に出てくるダンゴーンに似ている。芋虫のような形で、丸くなり、転がる形で攻撃してくる。そのダンゴーンも体の半分が無くなっている。
「ダンゴーンじゃないのか? 俺もそうだが、【黒猫】も知ってる異形だろ?」
「似てるようで、少し違うと思うわ。問題なのはゴブリンとこの虫型が同化してた事なのよ」
「同化!? この虫型とゴブリンがか……虫型の体が半分になってるだけじゃなく、ゴブリンの尻部分が斬られているのは」
「そうなんです。ゴブリンが少し宙に浮いた感じになってました。けど、私達の方に向いてたのは虫型の方でしたね。攻撃を仕掛けてくるわけでもなかったですけど……」
「……俺が見たのが後ろ向きの状態だったら、確かにコイツになる。攻撃は俺にもしてこなかったぞ」
俺とゴブリンの視線が合ったのは、虫型と同化していた事で、宙に浮いていたからか。
途中からゴブリンが意識を取り戻したように動いたのはどういう事だ? 攻撃をするにしても、ゴブリンと同化しているなら、利用すれば良いはず。
そもそも、異形同士が同化している姿を見るのは初めてだ。寄生型とはまた違う気がする。
ただ、ゴブリンは虫型と切り離した時点で、動きを止めたらしい。という事は、虫型はまだ生きていた事になる。主は虫型であり、寄生型に似てなくもない。
「同化していたのはコイツだけじゃないし、姿も違うから。異界の進化によって、出てきたというにはおかしい感じなのよ」
「この時点で異様なのに、別にもいるのか」
「それがまた気持ち悪いから!! これが一番ましだからね」
【黒猫】が悲鳴を上げるぐらいだ。ダンゴーン、虫型を見ても、嫌がる程度で済んでいるのだから、余程な物を見たんだろう。
「うおっ!! これは確かに……ヤバいな。それに……虫型が主というわけでもないのか」
【黒猫】とネスティスが戦闘を行った場所に着いた。そこには複数の死体が転がっているのだが、全てがゴブリンと虫型の同化体だった。
同化していた場合、虫型がメイン、ゴブリンがサブ。メインが潰されたら、ゴブリンも動かなくなる。
【黒猫】はそうは言っていたが、違う組み合わせもあった。多分、【黒猫」が叫んだのも、これだろう。




