目が合う
「ゴブリンの不審死か。異形が自爆したわけじゃないだろうし」
俺は再度単独で近道を進み始める。考えに集中する時は一人の方が良い。
自爆する異形がいないわけでもない。そんな相手にゴブリンが恐怖する事も分かる。
だが、虫型の異形が自爆する事は今までになかった。あっても寄生型だ。孵化とも似ている。
体内で生息していて、徐々に相手の自由を奪う。これなら血の色が変化する可能性はあるだろう。
「寄生型だとしても、わざわざゴブリンの体から抜け出す事はしない。それにコアキーパーとは別種の異形だ。攻撃を仕掛けてもおかしくはないが」
コアキーパーが生み出すのであれば、寄生先のゴブリンを殺すはずがない。
寄生虫も根城を壊せば、生きる場所を無くしてしまう。血は変色しても、大量に増えるわけでもない。
「どうやって、ゴブリンの体内に侵入したのかもある。体内で成長する分、視認出来ない程の小さかったら厄介だが……コアキーパーを関係ないはず」
ハンターにも影響はあるかもしれないが、状態異常と同じで、魔法や道具で対処出来る。
それに気付けるどうかという問題もある。時間が経ち過ぎたら……
「明かりが……小型ランタンの明かりの調整が必要だな」
小型ランタンの明かりが点滅し始めた。五分も経たない内に消えてしまう。
銀の箱に残ってるのは後二つ。コアに近付くにつれて、設置されたランタンは減っていく。そのために残しておきたいところだが、まだ近道のようやく半分になったくらいだ。
少しでも明かりを小さくして、効果時間を伸ばすしかない。そうすると、見逃しが増える可能性もあるが、狭い幅の近道なら何とか大丈夫のはず。
「とはいえ、これは最後まで使わないと勿体ない。次からと思ったけど、今からでも数分は延はず事は……」
俺は独り言を止めた。明かりが点滅する中、先に何かが見えた。救助者が隠れていたのなら、俺の声に気付いてもおかしくないはず。
だとすれば……ゴブリンだ!?
ゴブリンと目が合った。ゴブリンの体は子供ぐらいの大きさのはず。
そこまでの大きさになると、ホブゴブリンの可能性もある。
ゴブリン相手でもキツイのに、ホブゴブリンだと逃げるの一択。小型ランタンを投げて、一度暗闇にする。俺も見えなくなるから、すぐに追いつかれそうだ。
逃げるための道具。匂い袋を使うか。ゴブリン特攻の匂い袋。中身は内緒だぞ。
それを前方に投げたとして、この道は使えなくなってしまう。
本当はそう考えている時間もないはずなのに、ゴブリンは何も行動を起こさない。
ゴブリンは死んだまま立っている……わけじゃない。動いてはいるのだが……




