変化
「……分岐点はここで合ってるわよね?」
「俺のMAPでも分岐点はここだな。進化ではないと思うぞ」
「だとしたら、【殺戮】が壊した影響なの? 映像ではそんな事はなかったし……」
「何かおかしい箇所があるんですか? 私には普通に見えますよ?」
ネスティスは分からないだろうが、俺と【黒猫】は【廃坑】に来た事があり、【殺戮】がソロで攻略した映像も見ている。
彼女はコア到達までの近道を作るだけでなく、魔法で派手にゴブリン達を撃破していった。その影響で地形に変化があってもおかしくはない。
だが、俺達が【殺戮】の映像を見た時には変わりはなかった。
「コアに続く通路の高さがいつもより広くなっているのよ」
下が崩れるのならまだしも、変化があるのは上。天井が以前よりも高くなっている。
天井が削られたのか、地面には緑の石等が散らばっていて、その形跡が残されている。
しかも、そうなってるのはコアに続く道のみ。他の天井の高さは前と変わりがない。
ゴブリンが何かをしたのか。もしくは、新たな異形が一度はここまでやってきたのか。
だとすれば、その天井の高さに匹敵する大きさという事だ。
五メートルは確実にあり、天井を削る程の攻撃力、それか体でぶち壊せるぐらいの耐久があるのか。
そんな異形であれば、ゴブリンが逃げ出すのも無理はないだろう。
そして、【殺戮】が作った近道は隠れ場所としては間違ってないのかもしれない。
その大きさだと入る事も出来ない。無闇に周囲を壊せば、【廃坑】内は形を保っていられない可能性も出てくる。
「それが一体だけだとしたら、コアキーパーの可能性も十分あると思うのだけど……ここまで足を伸ばせるのかよね」
コアキーパーはその名の通り、異界の大元を守るBOSS、守護者だ。コアから離れる事は滅多にない。滅多にないがゼロではない。
コアが破壊されても、コアキーパーが消えるわけじゃない。餌を求めて徘徊するBOSSもいる。
ゴブリンを追わなかったのは、腹を満たされているから。空いていれば、ここまで来る可能性があるのかもしれない。
「ゼロではないと思うが、この大きさだったら、【気配感知】でなくとも、移動する時に音や振動がする気がする」
こちらにコアキーパーが来る前に、隠れる事は可能だろう。勿論、相手の速さ次第ではある。トロッコのような速さがあれば、こちらが意表を突かれる事になるが……
「そうね。その時は【気配遮断】を優先する。敵を確認する。ネスティスも無闇に攻撃を仕掛けるのは駄目だから」
「大丈夫ですよ。そこで無茶はしませんから」
「信じてるからな」
『そこで』という言葉が気になるが、俺と別行動は慎重にはなってくれる事を信じたい。俺もそこは言葉にしておく。
「ここからは【ライト】を使うわよ。【殺戮】の映像からして、近道はほんの少し先なだけよね」
新たな異形のヒントを得るべく、【黒猫】の【ライト】で周囲を照らす。




