弱肉強食
「恐怖による混乱……ですか? ゴブリンが? 一体何に?」
ネスティスが疑問に思うのも無理はない。ゴブリンが混乱した理由がコング兄弟達じゃない事は確かだ。
彼等は救助を待つ側。弱まっているのなら、ゴブリンは強気に出てもおかしくはない。
それに加えて、ゴブリン達は【黒猫】がいるのにも関わらず、突撃してきた。
突撃というよりも、通り抜けようとしただけかもしれない。それをこちらが攻撃を仕掛けただけ。
とはいえ、【黒猫】の強さはドンドンよりも上だ。恐怖するなら、彼女の方であり、引き返すのが正解のはず。
「異形だな。【廃坑】が進化した事で新たな異形を生み出したんだろう。それがゴブリンを狩りだしたのかもしれない。数の多さか、もしくは強力な個体なのか。俺達よりも脅威だとゴブリンは感じたわけだ」
「同じ異界で生まれた異形ですよね? 敵対する事なんてあるんですか?」
「あるわよ。一つの異界でも多種多様な異形が出現する。敵対する事もあれば、弱肉強食、一方が餌になってる場合もあるから」
多種多様だけで、異界レベルも上がってくる。レベルが高いとそれが当たり前になる。
高レベルの異界の映像を見てないと、そこまで知る事はないだろう。逆にこっちが怖じ気づくくらいだ。
「そうなんですね。別の異形が……コング兄弟はそれに捕まったのか、隠れている状態という感じですか?」
「そこまでは流石に分からないぞ。普通のゴブリンだからな。少し上ぐらいなら、コング兄弟は何とかすると思うんだが……」
減ったのが護衛対象なら、ドンドンも心置きなく戦闘が出来るはず。
とはいえ、倒されたのがコング兄弟達という可能性が高い。
こういう時に映像が見れないのが悔やまれる。下手に生き残っている事で、協会に証が戻ってこない。
「ゴブリンキングじゃなくて良かったわよ。進化した時、同種の進化型が来る事が多いから」
「それは本当に良かった。全滅は免れなかったと思う」
「キング? そこまで凄い相手じゃないと何故分かるんですか?」
ネスティスは疑問を口にした。上位種なら、ゴブリンか恐怖を感じてもおかしくはない。別の種族であれば、そうなる事もある。
「ゴブリンがキング相手に恐怖を感じるかもしれないが、統制が取れてるんだ。言うなら、ゴブリン達を支配出来る。命令に逆らえない。逃げる事は無理なんだ」
だからこそ、ゴブリンキングとの戦闘は危険なんだ。相手が怯まない。考えるのはキングのみだから。
「そういう事よ。新たな異形はゴブリンを追いかけては来ないみたいね。けど、奥に行く時には遭遇する事は間違いないわ。下手したら、コアキーパーかもしれない」
異界が進化したのなら、コアを守るBOSSも進化もすれば、変化もする。
「進む先に異形のヒントでもあれば、良いんだけど……それも調べる必要があるだろうな」
異形を直接見るだけでなく、異界の中に手がかりがある時もある。なんせ、異形は異界に生息している。体の一部が落ちていたり、臭いで分かる事もあるからだ。




