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戦闘スタイル

「ちょっと!! 一体何を……貴方が倒すつもりでいるわけ!?」


【黒猫】もネスティスがゴブリンの攻撃を受けると思ったんだろう。だが、実際は何も起きなかった。


 ゴブリンがネスティスの攻撃を止め、着地しただけに終わった。それだけじゃなく、今度は俺に視線を合わせて、こちらに向かってくる。


 俺の位置は一番後方。ネスティス→【黒猫】→俺。それも【黒猫】との距離も普通にある。戦闘による魔法使いの位置ぐらいか?


【黒猫】からすれば、俺がゴブリンを【挑発】して、こちらに敵意を向かわせたと勘違いしたわけだ。


【挑発】は相手の敵意を自身に向けさせるスキルなわけだが、そんなものを俺は持ち合わせてない。


 とはいえ、ゴブリンは【黒猫】さえも素通りにして行く事で、そう思ってしまうのも無理はないだろう。


「そんなわけがないぞ。戦闘スキルもないし、武器も持ってないんだからな」


 俺はゴブリンが追いかけてくる事で、更に距離を取る。


「もう大丈夫だ。【黒猫】はゴブリンを倒してくれ。ネスティスは動かなくても問題ない。むしろ、動かないでくれ。映像に残したくない」


 俺がゴブリン相手に逃げる姿を映像に残したくない……というわけじゃなく、【道化師】とバレる可能性を考慮してだ。


 こういう映像は何度も流された事があったからな。


 ネスティスがこちらを向かない事で、最後に残ったゴブリンは、俺が倒したと誤魔化す事も出来る。


「わ、分かりました。けど、大丈夫なんですか?」


 ネスティスはその場から動く事が出来なくても、振り向く事は出来る。それだけだと証も後方に移動しないからだ。


 俺がゴブリンに追われている姿を確認は出来るわけで、心配してくれている。


「大丈夫だ。一撃避ければ、それで済む話なんだが……」


 ゴブリンの攻撃を避ける。それで分かる事もあるが……鈍った体でそれが出来るのか……自信はない!!


「はぁ……一体何がしたかったのよ」


【黒猫】の投げナイフがゴブリンの頭と背中に刺さる。【ポイズンダガー】じゃなくても、頭に刺さった時点で絶命だ。


 ゴブリンが俺に集中して、【黒猫】に意識が向いてないのだから、彼女からすれば、格好の的だったかもしれない。


「勿論、説明する。ネスティスも動いていいぞ」


「はい!!」


 俺が動く事を許可して、ネスティスはこちらに寄ってくる。銀の箱も方向転換して、彼女の後方へ移動して、俺を映し出す。


 映像から見れば、俺がゴブリンを倒したような位置取りだ。けど、ナイフの刺さり具合からして、後ろからの攻撃だとバレる可能性もあるが。そこまでは気にしないでおこう。


「【道化師】はこういう奴だけど、貴女はいいわけ?」


【黒猫】はネスティスに余計な……良い事を言ってくれている。彼女が俺の行動に呆れて、【無法者】に加入する事を諦めて、尊敬の目で見るのを止めてくれるなら全然良い。


「【道化師】様の戦闘スタイルは知ってるので、気にしてません。その分、異形に関する情報を手に入れたんですよね?」


 ネスティスは期待した目で、俺を見てくる。【無法者】のファンなら、俺達の映像を見ているはずで、戦闘スタイルも把握済みか。

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