初の実戦
「ネスティス。初の実戦だ。緊張はしなくていい。まずは相手が誰なのかを確認するぞ」
「はい!! 迎え撃つんですね」
【黒猫】が【気配感知】で近付いてくる異形が三体と確認しているが、ゴブリンなのかどうか。
三という数字から、救助者ではない。ゴブリンが一番可能性が高いが、異界は進化している。様子見は必要だ。
数的には同じだが、三対三が出来る程の広さがはない。動きに制限も掛かる。
【剣刃】や【アイスブレス】で先制攻撃を仕掛ける事も可能だが、ゴブリン相手なら、APやMPを温存しておきたい。
「私が異形の確認。先制、遠距離攻撃は私がするわ。ゴブリンが相手なら、体勢が崩れたところをネスティスが仕留める」
「俺もそれで良いと思うぞ」
「分かりました」
【黒猫】はネスティスに指示を出したが、俺には何もなし。戦闘スキルが一切ないのだから、仕方がない。俺の出方を見るためなのもあるだろう。
ネスティスからすれば、俺と【黒猫】の意見が一致しなければ、動きにくいだろう。下手したら、俺の指示を優先しそうだ。
ここは俺も【黒猫】の指示を支持する。
「……来た!! 通常のゴブリンで間違いないわね。ホブゴブリンでもないわ。武器も装備してない」
【黒猫】は盗賊の【暗視】と【遠目】のパッシブスキルで、少し離れたゴブリンの姿を目にする。
ホブゴブリンはゴブリンの上位種。
ゴブリンの肌は緑色に対して、ホブゴブリンは青色。体も一回り大きい。
そして、ゴブリンの中で最上位種がゴブリンキングが確認されている。
ゴブリンキングが現れたのは異界レベル八の【都市】だ。その時はハンター総戦力で挑むほどのもので、【無法者】メンバーもそれに参加した。
ゴブリンキングの存在は、通常のゴブリンをハンター同様に武器や防具、魔法を使わせるように出来る能力を所持しており、進化されるのが厄介だった。
【黒猫】もホブゴブリンやゴブリンキングの知識を所持しているからこそ、武器の有無も俺に知らせたんだろう。
「私の目にも見えてきました!!」
ネスティスの視界にもゴブリンの姿が入ると同時に、俺の視界内に入ってきた。
俺はそのゴブリンに対して、【閲覧】をする。前回と今回で能力に変化があるのか。
一度コアを破壊された事で、強さが変化する。勿論、弱体化はなく、強化のみだ。
「ゴブリンの能力はさして変わらない。【黒猫】の投げナイフでも十分のはずだが……」
ゴブリンのパラメーターに然程変化はなかった。【黒猫】が牽制しなくても、遠距離攻撃、投げナイフに【ポイズンダガー】を使えば、それだけで倒せる。
ネスティスも【剣刃】や【アイスブレス】なしで、通常の戦闘で問題ない。
なのに、俺はゴブリンの状態に違和感を感じた。
「【閲覧】は異形にも使えるわけね。何かを感じてるようだから、ここは言う通りにしてるあげるわ。ネスティスも警戒するように」
【黒猫】は俺の言葉に引っ掛かりがあるのを察し、ゴブリン相手に投げナイフを敢行した。




