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トロッコ

「最初の分岐点まで進んでいいと思う。【危険察知】より、【気配感知】を優先する。ゴブリンが接近して来たら、教えるから」


 俺や【黒猫】じゃなく、ネスティスを先頭にして、【廃坑】内を進む事に。


 入口付近は以前と変化はなし。【黒猫】が【危険察知】よりも【気配感知】を優先したのも、この付近は安全だと判断したからだ。


「分かりました。……真ん中じゃなく、端の方がいいですよね?」


 ネスティスは足元にある線路を見て、端に移動する。


「良い判断だ。トロッコが戻ってくる可能性を考慮したんだろ?」


「ですね。もしかしたら……って。コング兄弟を含めて、私達以外に別のハンターが【廃坑】に入ったと思いますか?」


 俺達以外に誰かが【廃坑】に入った可能性があり、その人物がトロッコを使用した。


「それはない。異界には人数制限が設けられているからな。だからこそ、少数精鋭で行く事になったくらいだ」


「……【廃坑】の人数制限は十人。そのうち、私達を含めた五人がいる事になってたわ。境界線を渡る時に見えるわよ。次の時にでも確認してみればいいわ」


「そうなんですね。他に救助する人が増えてなくて、安心しました」


 ネスティスは気付いてないようだが、【黒猫】は重要な事を口にしている。俺も敢えて、口出しをするのを止めた。


 本来、コング兄弟三人、その依頼者の二人。俺達を含めると八人にならなければならない。


 それが五人という事は、すでに犠牲者が出ている。死者は人数にカウントされないからだ。


 問題はそれが何時そうなったのか。俺やネスティスが出発する前なのか。


 だとすれば、ハンターの証が協会に戻っているはず。それが本部なのか、イズン帝国支部なのか。どちらにしても連絡は来ているはずだ。


 本部がわざと知らせなかったのか。


 もし、俺達が【廃坑】に到着した後なら、残りの二人も危険が迫っているという事だ。


 だからといって、先走ればコング兄弟達の二の舞になってしまう。


 本来の目的は救助だが、すでに殺されているのなら、ネスティスを咎められる事はないはず。


 逆に目的をコア破壊に変更しやすくはなる。


 人数のカウントが見えるのは入口だけではあり、途中で見る事は出来ない。生存しているのが誰なのかも判断がつかない。


 ドンドンであればコア破壊に協力してもらいたいが、二人というのが気になる。


 コング兄弟が依頼者二人を逃したのか。トロッコが近くにあれば、それに乗らせる事が一番良いのだろうが。護衛がいなければ、何処かに隠れている可能性が高い。


【黒猫】の【気配感知】で探せなくもないが、異形もそれに引っ掛かるのがネックになる。


「だとしても、トロッコを警戒する事は必要よ。近付いてきたら、走る音が聴こえてくるから」


「えっ? どういう事ですか?」


 ネスティスはコング兄弟達がトロッコを使えない状態だと考えている。それが奥にあるのだから、逃げる手段になるはずなのに使用されてないからだ。

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