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「……貴方が嘘を吐く必要もないわね。【廃坑】から崩れる音が聞こえていたという情報もある。異界が地下に広がってる可能性もね。これ以上、拡大は阻止しないと。救助よりも優先しないと駄目かもしれないわ」
「はぁ……そうなるよな。コアの途中でコング兄弟を見つけられたら御の字。救助というより、俺達の手助けをして欲しいぐらいだぞ」
異界がここまで進化したとなると、コング兄弟が生きているのも時間の問題かもしれない。
生存していた場合、コア破壊に協力して貰う事に。勇者の異界初探索という話ではない事態だ。
「あの……御二人が危険と感じてるのなら、一度帝都に戻る事は駄目なんですか? 急ぐなら、私だけが戻って、応援を呼んでくる事も」
俺と【黒猫】の会話から、ネスティスも危険な状況になっている事を察したようだ。
勇者の異界初探索を優遇している場合じゃないと。
経験者である俺と【黒猫】を先に行かせて、【廃坑】内の調査。ネスティスには帝都に戻ってもらい、協会に応援を要請する。
「それが出来たら良いんだろうけど……」
「……無理でしょうね。ジェフが許可しても、本部が許さないと思うわ。ハンターも本部の指示を優先するだろうし」
「えっ!? どういう事なんですか?」
俺と【黒猫】が考える事は同じ。協会本部の事を良く思ってない。
本部と【無法者】メンバーは互いによく思ってない。不正映像の件もある。実際はそんな事はないんだけど!!
【黒猫】がアカネだった場合、ジェフに対する本部の対応、今回の件なんかで不満はあるはず。
そもそも、本部が何を考えているのか分からないから。
ただ、俺達の考えをネスティスに押し付けるわけにもいかない。
本部が応援を拒否する理由を、彼女に説明する必要があるのは確かだ。
「歩きながら説明するよ。【黒猫】もそれで構わないよな」
「……そうね。こうなってくると体力温存は必要だし、彼女も理由を知りたいだろうから」
【黒猫】もゆっくり移動する事に納得してくれた。
進化の速度が早くても、焦った行動をすれば、ミスが増えるだけ。
ネスティスを納得させないと駄目なのもある。
「先頭はどうするの? 貴方の方がいい?」
「いや……【黒猫】に任せる。まだ大丈夫だと思うが、【危険察知】はしてた方がいい。下から、どう広がるつもりなのか。異形による物なのかも分かってないからな」
「了解。並び順としては同じ。焦らず、ゆっくり進むわ。【道化師】だけじゃなく、私も答える。お互いに思ってる事の確認も含めてね」
この状況で好き嫌いという感情で行動するほど、俺や【黒猫】も馬鹿じゃない。割り切って、動く事が出来る。
ある意味、実力を認めているからこそなんだけど……




