身バレ防止
「……ありえるな。俺と【黒猫】をペア扱いにして、正体がバレないようにしたか。こんなのが二人いたら、逆に目立つんだが……」
勇者とパーティーを組んでいるのが【道化師】と【黒猫】だとバレたくないにしても、この姿だと変に注目されてしまうぞ。
異界の動き次第では正体を知ろうとするハンターも出てくる。
「あの……本当に違うんですか? ジェフという人は一体……」
「所長の事だよ。俺と【黒猫】の正体を隠すため、黒狐のマスクのペアだと思わせたかったわけだ」
実際、ネスティスはすんなり騙されてしまったわけだが……
「だったら……どちらか片方がマスクを外すのどうですか!! それだとカップルに見られる事もないと思います!!」
「それは無理だ」
「それは嫌よ」
またしても俺達の言葉がハモってしまった。
「うぅ……素顔を出した方が、【道化師】様や【黒猫】さんとバレないと思います」
それはそう!! ただし、素顔の状態でバレたくはないから。
俺の場合は特に!! ネスティスに素顔を晒すわけにはいかない。
「……私達は【黒猫】や【道化師】とバレる以前に正体を、素顔を隠したいの。二つ名とかで呼ばれるようになってからは特にね」
俺は【黒猫】の言葉に素直に頷く。【黒猫】も本当は二つ名を付けられるのが嫌だったみたいだな。俺もそのせいで本名がバレないようにしたぐらいだし。
「それとだ。【黒猫】にはちゃんと好きな奴がいるから。ソイツと仲が良いから、俺を煙たがっているだけだぞ」
「なっ!! なっ……なっ……」
【黒猫】は内情をネスティスにバラされた事に動揺してる。表情は分からなくても、耳が真っ赤になってる。
そこまで言わないと、ネスティスは納得しないだろう。
「何言ってるのよ!!」
「ぐぼっ!!」
【黒猫】は俺にボディブローを喰らわせた。その一撃だけで昇天しそうになったが、耐性の効果で倒れずに済んだ。その分、痛みを感じ続ける事に。意識を失った方がましだったかも。
「そ、そんなデタラメな事を、ジェ……本人には言ってないでしょうね。憶測で物事を言うのは止めなさいよ。しかも、勇者の前で」
「ああ……ゴメンなさい」
【黒猫】の慌てように、好きな相手がいるとネスティスも分かったようだ。その申し訳なさの一言。
【黒猫】の好きな相手はジェフ。異界探索協会イズン支部の所長だ。
彼女はジェフの右腕の存在だったが、献身度が以上だった。ハンター姿を見なくなったのも、所長のハンター引退が原因だろう。
今回、ネスティスに同行する事になったのも、彼の頼みだからだ。
実は所長の近くで今も仕事をしているのでは? と思えるぐらい……けど、今は美人秘書がその立場にいるから無理か?
いや……今思えば、【黒猫】がジェフの側を離れるとは思えない。
もしかしてだが……【黒猫】=美人秘書だったりしないか? 名前は……アカネだ!!




