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お付き合いしてますか?

「…………」


 取り敢えず、【黒猫】の横に座っておこう。ネスティスの方が正面から見慣れているのもある。


 そのせいで、ネスティスがジッとこっちを見てくるんだが……横に座って欲しかったのか?


「馬車も走り出したし、【廃坑】内での話し合いをこの時間にするから。御者も協会の人間だから、私達の名前を出しても問題ないわ」


 馬車が動き出したところで、【黒猫】が話を切り出した。


 御者は協会の職員であり、俺や【黒猫】の名前を出しても良いらしい。とはいえ、走り始めてからとなると、【黒猫】も警戒はしているという事だ。


 協会の職員であっても、イズン支部の職員でない事は俺も分かった。【黒猫】も本部の職員だと知っての事だろう。


『問題ない』と口にしたのも、本部の人間にそこだけは聞かせるためだと思う。


「あの……その前に御二人に聞きたい事があるのですが……それが先でも構いませんか?」


 ネスティスは真剣な顔で交互に俺達を見てくる。彼女にとっては重要な話なのかもしれない。


「……いいわよ。疑問は早めに解消してた方がいいからね」


「俺も構わないぞ。それが気になって、集中を切らしたら意味がないからな」


 俺と【黒猫】は同じ考えだったようだ。彼女は異界探索が初であり、不安があるかもしれない。そんな玉じゃないと思うが、可能性はゼロじゃない。


 それだけじゃなく、初のパーティーとしての行動でもあるわけだ。彼女がリーダーだとしても、俺達は先輩ハンター。適度にリラックスさせてやらないと。


「あ、ありがとうございます。【道化師】様と【黒猫】さんは……付き合ってるんですか?」


「……」

「……」


 俺と【黒猫】はネスティスの意外過ぎる質問に固まってしまった。


 黒狐の面の中の表情は互いにヤバい事になってそうだ。


「何でそうなる!!」

「何でそうなるのよ!!」


 そう思われたくない時に限って、同じ言葉が同時に出てくる。


「同じ台詞を言わないでよ!!」

「それはこっちの台詞だぞ」


 ネスティスの前とはいえ、流石に勘違いされている以上、否定しなければならない。


「喧嘩する程仲が良いとか言いますから」


 こんな状況でも、ネスティスは疑うのを止めない。


「はぁ……勘違いする理由は何となく分かる。この黒狐の面だろ? 【黒猫】と合流した時、その姿を見て、驚いていたからな」


 あれは【黒猫】の気配に気付かず驚いたと思ったが、実際は俺と同じ……形は少し違うんだが、黒狐の面をしてた事に驚いていたわけだ。


 お揃いと言われたら、お揃いになってしまう。


「これに関しては俺だけじゃなく、【黒猫】も驚いていたと思うぞ。同じだと知っていたら、変えているから」


「それはこっちの台詞……私が悪いわ。これはジェフの仕業よ。それを見抜けなかった、私のミス。直前で仮面を変えた意味がよく分かったから。……それだったら白猫の方が良かったし」


【黒猫】に黒狐のマスクを渡したのは所長だったのか。【黒猫】も出発前に会いに行き、白猫のマスクぐらいは被ろうとしたのかもしれない。


 それを所長が直前で変えたわけだ。だとしたら、俺が黒狐のマスクを装着したのを知ったからだろうな。


 もしくは、爺さんが所持している時に気付いていたか。所長の情報網は凄いから。

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