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【黒猫】が向かったのは帝都の門。先に外に出た方がいいと判断したんだろう。


「門番には先に話をつけてあるわ。【気配遮断】や【視線誘導】も効いてないから。勝手に出て行く事にならないから安心しなさい。貴女は声を掛けられるはずよ」


 彼女の言う通り、門番二人は俺達が門前に行くと、敬礼をしてきた。そして、門番の一人が勇者だけを確認する。


 今回、依頼を受けたのは勇者。俺と【黒猫】は同行者に過ぎず、パーティーのリーダーはネスティスになる。帝都を出る理由をリーダーが伝えなければならない。


 協会からの証明は【黒猫】が渡していたんだろう。所長はネスティスや俺には渡してなかったからな。


 渡す前に俺が逃げてしまった可能性はあるが……


「馬車も手配済みよ。そこで【廃坑】内の行動を話し合うわ」


 ネスティスが門番と話している間、【黒猫】が俺に声を掛けてきた。当然、俺が【道化師】だという事は所長から聞かされているはず。


「馬車だと三時間だな 流石に途中で下車するから、そこから徒歩で一時間か?」


「三十分で行けるわ」


 辛辣。【黒猫】やネスティスも【廃坑】まで三十分で行けるかもしれないけど、俺は無理だから。


「俺が無理だから。出来れば、休憩も欲しいぐらいだ」


「彼女のため? ……じゃなくて、自分のためね。救助者の事も考えなさい」


「無理した方が、結果が悪くなる事もある」


【黒猫】は俺の事をあまり好きじゃないのは分かっている。これぐらいの言い合いは予想してた。


 ……が、【黒猫】の声は誰かと似ているような……声だけじゃなく、圧の感じ方も……


 それも気になるが、一番の問題はそこじゃない。


「……」

「……」


「聞きたい事がある」

「言いたい事があるんだけど」


 俺と【黒猫】の言葉が重なった。


「……」

「……」


 俺は聞きたい事があって、【黒猫】は言いたい事がある。多分だが、俺達が思ってる事は同じような気はする。互いに嫌だと感じてるからこそだ。


「お、お待たせしました。【廃坑】までは馬車で移動するんですか?」


 門番との話が終わり、ネスティスがこちらに駆け寄ってきた。それもあって、この会話は一時的に途切れる事に。


 ネスティスも少し緊張というか、俺達が険悪ムードを出していた? 交互に俺達を見てくる。


「【黒猫】が用意してくれたみたいだ。これで【廃坑】の途中まで進む。異界は何時広がるかも分からないから、馬車で近寄り過ぎるのは危険になる。途中からは徒歩だ」


 俺はネスティスに説明する。【黒猫】もそこには文句を言ってこない。彼女が少し萎縮しているのが分かったからだろうな。


「分かりました!! 早速乗りましょう」


 ネスティスは馬車の御者に挨拶して、中に。続いて、【黒猫】、最後に俺が乗る事に。


 馬車の中の席は向かい合わせになっていて、ネスティスと【黒猫】は横同士ではなく、向かい合わせに座ってる。


 これは……どっちに座るのが正解なんだ?

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