片腕のガントレット
「腕輪……ですか? それにしても長いような気がします。これは身に着けても?」
「構わないぞ。違和感があれば、この場で修正してやる」
袋の中には鍛冶道具もあり、調整も可能らしい。武器とは違って、防具の違和感は動きを悪くするからか。
その腕輪は肘近くまであるだけでなく、手の平まで身に着ける形になっている。
「ガントレットか。甲冑の腕部分と思っても構わないかもしれないな。見た目よりは軽そうだが、片腕だけなのか?」
爺さんが用意した装備の一つは片腕だけのガントレット。見た目よりも軽いのは、様々な異界の素材を合わせて作ったのだろう。
「そうだ。利き腕じゃない左腕。盾を持つよりも、彼女にはしっくり来るんじゃないか? 身体検査で弾を迷わず腕で受けたからな。この篭手で払う事も可能だ。ダメージも軽減出来る」
ネスティスの身体検査という名の力試しをした時、色液弾を腕で受ける事があった。
あれは目や耳で来る事が分かっていたが、前の動きで回避出来なかったが、腕を出す事で防御した。
つまり、反応はしていた。それをガントレットですれば、遠距離攻撃を弾く事が可能だと考えたわけだ。
勿論、近接攻撃を受ける事も出来る。素手での攻撃力も上昇する。
盾に関しては、俺も爺さんと同じ意見。ぶっつけ本番で盾を装備するのは厳しい。
それだけで動きが変わり、回避よりも防御の方に意識が持っていかれやすくなる。
今の彼女にとっては中途半端になりかねない。
「なるほどなるほど……格好良いですね!! 片腕なのが格好良さを増してる気がします。少し重みを感じるけど、ピタッとしてるから大丈夫そうです」
ネスティスは左腕にガントレットを着けて、軽く動かしてみる。そこまで違和感はないらしい。
しかも、格好良いというだけで納得するのも彼女らしい。
【卑怯】もそんな感じだった。彼女も盾を持たず、格好良いという理由で両手にガントレットを着けていた時期もあったからな。
今は何も着けてない。盾は一度も使った事はなかった。タイプ的にはネスティスと同じだ。
「あっ……けど、剣を握る時には違和感が出るかもです。基本的に右手に持つ事が多いんですが、両手でも待つ事もあったりで……そこはどうなんでしょうか? 手の部分だけを外せますか? 外しててもいいですか?」
彼女は刀を左手で持った時に違和感が出たんだろう。それを黙らず、率直に言えるのは強味だ。
爺さんも先に調整可能だと言ってた事もあるが、なかなか言えないぞ。
「外す事は可能だな。可能だが、お前はどう思うんだ?」
俺も彼女が違和感を感じるのであれば、意見を通してやりたいんだけど……
「ネスティスには悪いんだけど、反対だな」
俺はガントレットの手の部分を外す事を拒否した。勿論、ちゃんとした理由はあるぞ。
「理由を聞いてもいいですか? 戦闘に支障が出たりしませんか?」
「ネスティスがそう感じるなら、そうかもしれない。そういうのは少しでも減らした方がいいんだが」
異界において、気にするべきは異形との戦闘だけじゃないという事だ。




