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新装備

「今日は大声で呼ばなかったんだな」


 昨日は『師匠』と彼女が大声で呼んでたせいで、今日も同じ事が起きると勝手に思っていたのもあり、不意を付かれてしまった。


「昨日は緊急だっただけで、いつもは普通に来てますよ。今回はおじいちゃんから装備を受け取るのが目的だったから」


 彼女が協会に入ってきて、爺さんの名前を叫ぶのはおかしいからな。先輩受付嬢がその前に俺達が相談室にいる事を教えたのかもしれない。


「さっきの話は嬢ちゃんが気にするような話題じゃないぞ。女は怖いという話だ。異界の中でも気にされたら、たまったもんじゃないからな」


 爺さんは素直に白状する。依頼に集中させるためには、ハッキリに言ってた方がいい。


「ネスティスの事を言ったわけじゃないからな。仕事の関係上……な」


「そういう事ですか……あの人の事かな? 私的には格好良いと思ったんだけど……雰囲気は分かります」


 ネスティスが職員の中で格好良いと思う女性がいるらしい。多分、それらしき人物は美人秘書しかいない。


「この話はここまで。本題に入るぞ。爺さんが用意した装備をネスティスに渡す。俺にも見せてくれるんだろ?」


「勿論です!! 師匠も見てください」


「本人から許可が出たからな。嬢ちゃんもこんな狭い空間で振り回すなよ。武器は見るだけで留めておけ」


「分かりました!! 『武器は』……って事は、他にも持ってきてくれたんですか!?」


 爺さんが彼女に用意した装備は一つだけじゃなく、複数あるようだ。持って来た袋が大きかったのもそれが理由だろう。


「そうなんだが、俺が作った昔の装備だ。それを修繕したに過ぎないからな。そこまで期待するなよ」


 流石に爺さんでも一日で一から作るの難しい。いや、不可能だろうな。ただし、ある物をネスティス用に合わせる事は出来たわけだ。


 それも一つだけでなく、複数用意した。彼女に必要と考えたからだ。


 ネスティスの身体検査が終わった後、俺は爺さんと彼女の装備について、少し話し合った。その装備には俺の意見も含まれているはずだ。


 爺さんが袋から飛び出したのは剣。剣にしたら、細い。いや、刀身が薄くなってる。その分、折れやすくなっているだろうが、重さは無くなっている。


「刀か。力よりも速さで威力を高めるタイプの武器だ。薄い分、折れないようにする器用さは必要になるが、今のネスティスには合ってると思う」


「【卑怯】が使ってた武器でもあるな。アイツは色んな武器を試す奴だが、コイツはお気に入りに入るんじゃないか?」


「そうだな。ハンターオタクとして、【卑怯】の愛用してる武器の一つに刀があるのは知ってる。【剣刃】使用時にはこれを使ってるはずだぞ」


【無法者】メンバーじゃなく、ハンターオタクとして答えておく。【卑怯】は色んな武器を使いこなすけど、メインは剣であり、刀だ。


「そうなんですか!! それは使いこなすしかないですね」


 ネスティスは【卑怯】の話を聞いて、今にも鞘から刀を抜きそうな勢いだったが、何とか踏み留まった。


「次の装備を見せてやるから、その刀を抜こうとするのは止めろよ」


 爺さんは次の(そうびで、ネスティスの気を引いたからだ。

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