先輩受付嬢もなかなかです
「……所長。開店時間になったので、開けても構いませんか?」
予想外の金額に俄然となった所長に対して、先輩受付嬢が声を掛けた。
確かに時計は開店の九時を示している。
「勿論だ。すでに待っているハンターもいるだろうからな」
「分かりました。ですが、所長は所長室に行くなり、裏の方へ。そんな雰囲気の所長をハンターが見たら、何事かと思ってしまいます。アカネさんにも所長の見張りを頼まれているので」
「アカネから!? 分かった。分かったから、押さないでくれ」
美人秘書じゃないが、先輩受付嬢も強気に言って、所長を裏へと押していく。
その役は美人秘書が務めているんだが、今日は協会にはいないらしい。先輩受付嬢が美人秘書の代わりを務めるようだ。
「皆も準備して。ゼロストさんが出張なのに、ここに来た理由も分かりました。彼と一緒に端の席に移動して貰えると助かるわ。目立ち過ぎるのも、彼女には迷惑になるでしょ。相談室を使用しても構いません。ジジさんもお願いします。仕事の邪魔をするのは本意じゃないですよね? 職人だから、それぐらいは分かるはずです。勇者が顔を見せたら、案内させますので」
「おっ……おう。仕事の邪魔だったな。すまない。相談室とやらに移動させて貰うわ」
「俺も裏から相談室に行きますね」
三人が相談者側にいると、仕切りが邪魔で入れなくなる。一人は相談役の方に行かないと。
そうしている間に、フレア達は持ち場に移動していた。異界の映像を見る装置も起動していて、万全の状態に。
爺さんと俺は足早に相談室に移動。
「職員としてのプロだな。あそこまでの圧は久し振りだ。俺も思わず従ってしまったぞ」
移動し終えた後、爺さんは言葉を溢した。女性にあれだけハッキリ言われる事もないだろうからな。
「彼女はしっかりした良い人だぞ。それと……彼女の圧は序の口だ。上には上がいる」
勿論、所長の美人秘書だ。先輩受付嬢の圧も凄かったが、彼女には到底及ばない。
それを爺さんに言ったところではあるんだが、愚痴を言いたい時もある。
相談室だったら俺の声も他に聞こえないだろうし、美人秘書も協会にいないのは先輩受付嬢が言っていた。
所長も俺と爺さんの話を【盗み聞き】なんてしないだろう。自分の秘書に対しての愚痴は、所長の方が溜まっているはず。
「【卑怯】や【殺戮】を相手にしているのに、お前にそこまで言わせる奴がいるとはな。どんな奴なのか見てみたい気持ちはあるが」
爺さんの好みは気の強い女性なのか? 爺さんは仕事一筋で結婚してなかったが……
「何の話をしてるんですか? 【卑怯】さんや【殺戮】さんよりも上がいるとか。上には上がいるとか、気になります」
「うおっ!!」
急にネスティスが相談室に入ってきた。彼女が来るのは分かってたけど、早すぎだろ。
爺さんが途中で話を止めたのも、ネスティスの足音が聞こえたからか?




