オタク仲間
「はぁ……分かりましたよ」
覗いたのがバレてしまったのなら、仕方がない。所長の言う通り、ネスティスを見送る時には爺さんと一緒にしよう。
どうせ、その後に爺さんから貰う物がある。勇者の装備ではなく、【道化師】の装備を。
「レイさん。もしかして、あのヤバそうな職人と知り合いなの?」
俺がフロアに行く前に、フレアが驚いた顔を向けてくる。その驚いた顔は恐怖よりも、興味津々とした顔だ。
「そうだな」
呼ばれたわけだから、否定するのも難しい。隠す程でもない気はするし。
「職人と知り合いだなんて、レイさんはハンターだったり? 臨時の職員だしさ。やっぱり……」
職員で俺がハンターだと知ってるのは所長と美人秘書ぐらい。フレア達、他の職員には教えてない。
けど、フレアは俺がハンターだと疑ってるのか? 職業が編集者という事は知ってるはずなんだが……
「ハンターでなくても、知り合う事は可能だぞ。気にし過ぎだ」
「そうなのかな? 所長もレイさんに対してだけ、態度が違う気もするし。昔は有名なハンターだったんだよね?」
フレアも良く見てるな。所長が元ハンターという事は知られてるわけで……、俺もそうだとバレないよう、所長にも言っておかないと駄目だな。
「年も近いし、オタク仲間でもあるから」
誤魔化すためにも、所長を異界オタクにしておこう。協会の所長になるぐらいだから、あながち間違いではないはず。ハンターオタクの方でも構わないけど。
「なるほど!! 私も異界の事を勉強して、オタクになりますね」
「……別にオタクにならなくても、フレアとは同じ職員だから。気にする必要はないぞ」
「あっ!! 話の途中なのに」
俺のためにオタクになりそうで怖いから、ここは止めておかなければ。そして、素早く爺さんと所長がいるフロアへ。フレアとの話を切り上げる理由があるのは助かる。
戻ってきた後でも、すぐに出発しないと駄目だからな。後日になったら、忘れて欲しいぐらいだ。
面倒事はネスティスだけで十分だから。
「遅いぞ。誰かと話してたのか?」
「ああ……フレアだろ? ゼロストは気に入られているからな。注意しても気にしないぐらいだ」
爺さんは俺が来るのが遅い事に文句を言い、所長がそれをフォローする。フォローをするのは助かるが……
「彼女だと? 勇者以外にもコイツの事を気にいってる奴がいるのか? アイツ等に言えば、面白い事になるか」
「それは止めてくれ。下手すれば……」
爺さんは笑いになると思ってるようだが、下手すれば、勇者関係なく、彼女達が……言い方によると思うが……
「冗談だ。お前達の中に入るのは余程でなければ、無理だからな」
「ゴホッ、ゴホッ……痛いから止めてくれ。支障をきたすから」
爺さんは俺の背中をバシバシと叩いてくる。それだけで回復魔法が必要と感じるくらいにダメージを受けているんだが……
今のやり取りで、爺さんと所長の二人に険悪な感じはなさそうだ。
ネスティスの扱いに文句を言いたいと、爺さんは言ってたからな。




