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対象者 俺!?

「はい!! 師匠さえ良かったら、見てください。【廃坑】で使えるのかどうかも知っておきたいです」


 ネスティスは真剣な目で俺を見つめてくる。


 爺さんにじゃなく、俺に見て欲しいみたいだ。


 ネスティスが覚えたのは氷魔法の【アイスブレス】。魔法は魔力が威力、範囲に影響を与える。

何度も使用する事の変化はない。いや、魔法を使い続ける事で魔力は上昇するか。


 彼女はそれを覚えたてで、魔力の低い状態。初期の魔法がどんな物なのかはすでに知っているんだけど……


「はぁ……分かった。確認すればいいんだろ?」


 ネスティスとは【廃坑】に一緒に行く事になるんだ。【黒猫】も回復魔法を使えるらしいが、攻撃魔法が使えるかどうかまでは聞いてない。


 彼女の【アイスブレス】が役に立つ可能性はゼロではないだろう。


「当然だな。師匠として、嬢ちゃんの魔法を受け止めてやれよ。俺はさっきの力試しで暑くなってるんだ。一気に体を冷やしたら、風邪を引いちまう。明日の準備も出来なるからな」


「えっ!? ……マジか!!」


 ネスティスが【アイスブレス】を使用した際、文章として効果は見る事は出来る。


 とはいえ、対象者がいるといないとでは全然違う。それは俺自身がよく分かっているから、文句も言えない。


「師匠に向けて、【アイスブレス】を!? 分かりました。ミスをしないように……噛まないように全力でいきますね」


 魔法のミス。魔法には使用する魔力を溜めるのも必要だが、それを放つための詠唱が出来ないと発動しない。


 その詠唱が邪魔されたり、途中で噛んだりすると不発に終わってしまう。それも経験次第で詠唱は短く出来る。


 ハンターの中で【殺戮】の魔法詠唱が最短。【アイスブレス】の初期魔法は名前だけで発動出来るぐらいだ。


 今は【殺戮】の事は置いておくとして、ネスティスは手加減するつもりはないようだ。


 そもそも、普通にスキルでそんな事が出来るわけもない。


 スキルは説明通りの事しか発動しないから。


「確か……ここぐらいの距離が範囲だったかな。その確認も出来るのは嬉しいかも」


「良かったじゃないか。異界内でそんな事をする暇はないからな」


 爺さんもネスティスと一緒に距離を取る。魔法は近距離よりも、遠距離で使う事が多い。


 距離を把握するのが重要になってくる。離れ過ぎていたら、効果が無くなる事もある。


 魔法には攻撃範囲があり、距離もそうだが、形も様々だ。


「嬢ちゃんの魔法で師匠が死ぬ事はないし、工房の火で暖を取らせてやるからよ。ゆっくり、丁寧にやりな」


「はい!! 集中に入ります」


 ネスティスは俺の方に右手を突き出す。その右手に魔力を溜め始める。それと同時に詠唱開始。


 魔法使いが敵から距離を取る理由は、詠唱時に無防備になってしまうからだ。


 パーティーはこういう場面で必要となるわけだ。


 爺さんの言う通り、【アイスブレス】の威力はたいした事はない。でなければ、俺も受けるつもりはなかった。


 けど、ネスティスが受けた色液弾同様、痛みがないわけじゃないからな。

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